6. 日本における生物学的環境修復手法の現状
日本では土壌を含め、生物学的環境修復手法が汚染処理に実際適用された事例はほとんどありません。ナホトカ号油流出事故などで、実験的に使用された例などが数例あるだけです。ナホトカ号の油処理のときに、水産庁と環境庁は、「ナホトカ号油流出事故の流出油及び漂着油に対する処理剤等の利用について」という文書の中で、バイオ技術の利用として、石油を分解する微生物を活性化させる栄養剤を使用する方法と栄養剤とともに微生物を撒布する方法とがあるとしていますが、生物学的環境修復手法を実施して良いのか、実施してはいけないのかについては、明確にしていません。
しかし、1997年3月に発表された「日米コモンアジェンダ」では、生物学的環境修復手法を含む海洋汚染環境修復に関する技術をお互い共有する確認がなされています。こうした状況の中、1998年から、環境庁で生物学的環境修復手法の指針作りに関する検討が行われています。
「ナホトカ号油流出事故の流出油及び漂着油に対する処理剤等の利用について」
水産庁、環境庁(1997年2月6日)
1] バイオ技術などの活用としては、例えば、石油を分解する微生物を活性化させる栄養剤を使用する方法や栄養剤とともに微生物を撒布する方法がある。現場の状況によっては、その有効性が異なり、また、使用方法によっては、栄養剤が窒素、燐酸を含むものであることから、海水の富栄養化が生ずる可能性や微生物の撒布による海洋生態系に与える影響の可能性も考慮する必要がある。
2] このため、今後とも、これらの調査・研究を推進して、その技術的有効性や環境への影響などを明らかにするとともに、実際の使用にあたっては地元漁業協同組合及び自治体等の理解と協力を得ていく必要がある。