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献体については、考えても、まだはっきりとした考えはまとまっていません。ただ、病気の解明や、教育のためには、必要な事だと思います。献体して下さった方々がいらっしゃらなかったら、こんなに医学は発展してなかっただろうし、人間もこんなに長生きできなかったのではないでしょうか。

また、解剖実習では生きている人をみるのとは違うのだと思いますが、もし本や、標本だけでしか見なかったら、やはり良く理解できません。実際、実習中にあまり見られなかったものは、後で本で勉強していても良く解らなくて苦労しました。それから、この現代の小さい頃から活字ばかりを詰め込む教育の中で、こうして実際に見て、肌で感じて実習を行えるということは、とても貴重な体験ではないかと思います。本に書いてあることだけがすべてと思ったり、自分が接しているのが生身の人間だということを忘れるような医者には、だれも診て欲しくないだろうと思います。

ただ、自分の身内が献体したいといったり、また自分が献体を考えた時不安になる事は、一体どの様に扱われるのか解らないということではないでしょうか。死んだ後にしろ、自分が粗雑に扱われるかもしれないと考えたら、誰だって不安になるのは当然です。だから、私たちは、献体して下さった方々のご遺体に敬意をはらって、感謝の心を忘れないようにしながら、丁寧に御遺体に接するべきだと思いました。

 

 

 

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