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親から、「解剖は一生懸命やりなさい。一生に一度しかないチャンス。出来ることならもう一度やりたい」と散々聞かされてきたが今はその気持ちがよくわかる。実際、手にとって、メスをにぎってしか理解できないことばかりだったと思う。本でも、コンピューターでも絶対に出来ない勉強だ。百聞は一見にしかず─まさにこれだと思う。

こんなに有意義な時間を持てたことを心から感謝している。勇気を出して献体をして下さった方々、それに賛成してくださった御遺族の方々、そして様々な準備や、講義をしてくださった解剖学教室の先生方。さぞ、大変な苦労をされたと思います。本当に有り難うございました。

実習を終えて、今、本当に「医学生」としての自覚が少しずつだがでてきたような気がする。何をすべきか、何が大切なのか、何が自分には欠けていたか。一番苦しい時期を乗り越えて、ふと省みたとき、自分の姿を客観的にみることができたと思う。これからは、今回、得たことをフルに活かし、足りなかった部分を補う努力を続けていこうと思う。こんなに前向きに考えることができるようになって、とても嬉しかったし、それだけ、すばらしい実習を終えたことを自信につなげたい。

 

解剖学実習を終えて

宮田 隆司

十一月から四ヵ月以上にわたり行われて解剖実習が終わった。

 

 

 

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