人工臓器を実見
宮本 珠生

実習では、大量の脂肪や、その中に埋もれて、思いもよらない場所にある血管や神経を出すのに悪戦苦闘した。皮はぎの際、ピンセットを一日中強く握りしめている為、左手の指がしびれてしまったり、気化したホルマリンで涙が止まらない時もあったが、それも全て、本当に実習に集中することで忘れることが出来た。
実習中、他の多数の御遺体も見ることが出来た。御遺体は、一体一体皆様々違ってはいたが、臓器が異常に肥大したり、人工の臓器をつけていたりして、皆、それぞれ病と闘いながら亡くなられたことを思わせた。そして、皆、医学の発展を心から望んでいたに違いなかった。