
最後の試験を無事終了して、翌日、十一月二十六日、自分の誕生日でもあるその日に納棺が執り行われた。今までお世話になった献体の方とのお別れの日である。複雑な思いを胸に実習室をきれいに掃除してから、皆で出し合ったお金で買った花束とともに遺体を丁寧に棺に納めていった。最後に、仏壇に手を合わせながら、今までの感謝の気持ちを伝えるとともにご冥福を祈った。「解剖実習だけは、どんなことがあっても休まない。」こういう思いが自分にはあった。この実習だけは人間として何かとても大切なことを教えてもらっているようで好きだったし、それほど尊かった。