しかし、たとえ名前を忘れてしまったとしても、そのイメージは何年も、何十年も頭の片隅に残るのではなかろうか。そしてこれからの勉学に多いに役立つに違いない。
自分なりの満足の仕方を見つけ出した私は、その後楽しく実習をさせていただきました。実際の人を剖けてみないと得られない、このイメージ。生きていた人のみが作り出す、この複雑な機構。この三ヵ月での貴重な体験は全てあなたのお陰です。
「ありがとうございました。」
解剖学実習の感想
中村 契
およそ三ヶ月にわたる解剖実習を終えて、人体とは何と複雑かつ巧妙なしくみによって成り立っているのかという解剖学を学習する上での心がまえの原点ともいうべき素朴かつ純粋な気持ちに立ち返らせてくれるような、新鮮な驚きを私は何度も経験することができた。現在では一般の人々でも人体のどの臓器がどの辺にあり、動脈がおおよそどのような走行をとっているのか、各部の筋肉がどこから始まりどこに停止し、それぞれがどういった働きをもっているのかを常識として知っているであろう。