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私は一生忘れないと思います。これが医師を志した私の背負った十字架であり、人生の糧なのです。たとえそのメスによって赤い血が流れなかったとしても、その過程がどんなにグロテスクであったとしても、これが人間であり、生であり死なのだと心に刻みました。私はその現実に決して目をそらさず、目をそむけず生きていこうと思います。前田教授の「御遺体は師である。」という言葉は、そういうことではないのかと思いました。

最後になりましたが、このような貴重な機会を与えて下さった故B様並びにご遺族の皆様の尊い御意志と深い御理解に感謝し、故人の御冥福を心からお祈りいたします。

 

感謝の言葉

中谷 航也

肉眼解剖学実習もそろそろ終わりに近づいてきた頃。既に実習には慣れすぎる程慣れてしまっていた。そんな時、僕は自治委員なので納棺式の進行をするように言われました。(納棺式は学生が主体となって行われています)ちょうどその頃、実習の感想文を任意で提出するようにという先生の御薦めがあったので、改めてこの実習についてもう一度初心に戻ってみようと思い、書かせていただきました。

 

 

 

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