解剖学実習を終えて
塩崎 一成
約一年間にわたる解剖学実習を終えて、私は本当に貴重な体験をさせて頂いたと思う。
座学の授業で学んだ知識が作業を通じて、自分の眼の前に現れてくる。人間が生きて生活を営むために必要な、人体の精密で巧妙な構造には毎回のように驚かされていたように思える。またご遺体によって同じ臓器であるのに、細部までまったく異なっていたり、筋肉の付き方、神経の走行が違っているのも実習でなければ理解することはなかったと思う。
この解剖学実習を通して、私達が将来、「身体」の一部分(歯牙とその口腔関連領域)の治療を行う歯科医師となることがどんなに大変なことであるかをあらためて痛感させられた。たしかに私達の目指す歯科医師は口腔内だけの治療かもしれない。しかし、今回の実習で学んだように人体とは、精密で巧妙であるが完全なものではなく、いつ何が起こるかは判断しにくいと思う。その時のためには体の機能構造を広く深く理解しなくてはならないと思う。