日本財団 図書館


救難技術講座

海上保安庁 特殊救難隊

 

全国の救難所職員の皆様方、前回の「救助技術講座」、少しでも参考となったでしょうか。さて、今回は、救難所職員の皆様方が実際の救助作業に従事される機会の多いと思われます曳航救助、特に小型船曳航を中心に説明します。

 

1 曳航準備

 

速やかに曳航索の授受ができるようあらかじめ、船体の状況、大きさ、乗組員数、被曳航用索の所持の有無、連絡手段等について確認しておくこと。

 

(1) 曳航船側の準備

曳航索授受(サンドレッド、もやい索投射器等)のための準備及び曳航索の準備(円滑に繰り出せるよう甲板上にコイルダウンする等)をしておくこと。

 

(2) 被曳船側の準備

船体強度面から構造物等に曳航用ペンダントをとることができない場合、船体に大廻しをとるよう準備させ、また、可能であれば、プロペラと主機のクラッチを切り離し、プロペラの遊転が可能な状態としておくこと。

 

2 曳航索の授受

 

(1) 被曳航船への接近

原則として被曳航船の風上側に占位してから接近し、また、被曳航船の漂流状況を十分見極めて接近すること。接近方法については、日本水難救済会で出版「海難救助作業マニュアル」を参照して下さい。

 

(2) 曳航索の授受

曳航索の授受において、曳航船側と被曳航船側の風圧面積が異なる場合、時間経過とともに船体が風下に圧流され作業に手間取ることがあるため、可能な限り接近して曳航索の授受を行うこと。

 

(3) 曳航索の引揚げ

荒天下で曳航索授受の作業を行う場合には、船体圧流及び風潮流により曳航索に張力が加わり、曳航索の引揚げ作業に困難が予想され、また、曳航船と被曳航船との距離が大きくなればなるほど、その作業は一層困難となるため、可能な限り接近して曳航索の授受を行うこと。

 

[船体大廻しの一例]

曳航のワンポイント:擦れ当ては十分に!

067-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION