患者は、座位でぐったりしているが外傷は無く、アルコール臭もしない、呼吸・脈拍もしっかりしていた。
問題の意識も、ハッキリしており、私の片言の英語でも簡単な受け答えはできたため、一安心した。
意識不明時から現在までの状況、既往症等に関しては、日本人である船長から詳しく聞くことができたことは大変助かった。
船内の通路が狭いため、患者を慎重にポイントまで搬送し、減圧式固定担架にくるみ、吊り上げに備えた。
患者の吊り上げに関しては、船体動揺が大きく、船体構造物も多いため1番注意するポイントとなったが、無事に機内に揚収することができた。
その後、特救隊員を揚収し、八丈島へ向かった。機内では、休む暇もなく、容態の観察、聞き取り、酸素の投与を実施した。
午後0時35分、MH931は八丈島に到着、医師の待機する固定翼機(MA951)に、患者を引き継いだ。
機内では、日本医科大学の医師2名と救急救命士1名が待機しており、薬剤の投与、導尿カテーテルの施行、酸素投与を実施し、直ちに羽田向け出発した。
午後2時20分、MA951は無事羽田に到着し、患者は病院に搬送され、その後の検査により、脳内出血であることが判明した。
今回の出動は、気象・海象等の状況が悪い中、三本部オペレーション、航空機クルー、特救隊員が三身一体となり、一刻も早く医療機関に搬送すべく努力した結果として、安全・確実・迅速に作業を実施することができた。