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救難所活動報告 No.4

 

座礁した旅客船「クィーンざまみ」の救難活動116名全員を救助

(社)琉球水難救済会 座間味救難所

所長 金城 忠彦

 

乗客の副所長から急報

 

平成9年12月27日午前10時30分に村営の定期高速船クィーンざまみが阿嘉港を那覇向けに出港したが、当時の基準航路の海象が悪く第2基準航路に針路を変更したところ10時40分頃、安室島南方約1.5km(通称、名瀬岩礁)の浅瀬にスクリュー及び舵が接触した。機関士が船底に穴が開いていると報告があり、乗客として乗合わせていた救難所副所長の金城が船員や役場職員等と協力し乗客に救命胴衣を着用させて、直ちに救助長(石川進)に船舶電話で連絡をした。

 

全員を非常呼集

 

石川救助長は直ちに漁港で出漁の準備をしている私に報告するとともに自ら自船の「白鯨丸」の機関を始動し私の指示を仰いだ。私は、漁業無線で操業中の各船に非常呼集をし自らも白鯨丸とともに現場海域に向かった。

一方、浅瀬に接触した際にスクリューと舵で船底に穴が開いた機関室に浸水し航行不能となったクィーンざまみは阿嘉漁港の東方向約1kmにて立ち往生していた。船尾の下がっている状態を見て、水深40mの海上で救助活動をするよりも、浅瀬に乗り上げて沈没を防いだ方がよいと判断した私は、自船での曳航は無理なため白鯨丸の石川救助長に浅瀬に曳航するように指示した。

 

旅客、乗員全員を救助

 

指示を受けた石川救助長は沈没の心配がない水深2m程の浅瀬まで曳航して投錨させ、非常呼集で駆け付けた6隻の救助船と共に救助活動を開始、救助員の漁船で乗客を救助し港で下船させた。たまたま事故船に乗り合わせていた副所長や役場の職員及び船員の一致協力して乗客に対応したため、動揺してパニックを起こした人もなく死傷者もなく乗船者全員116名を無事に救助することができました。

 

表彰を受ける

 

「救助活動により表彰をしたいので東京までご足労願いたいのですがと電話がありましたよ」と、副所長より報告を受けた際に、日本水難救済会の会長表彰は既にいただいていましたが、この表彰式がどのようなものであるか知らない私は「何をいっているか、この忙しい時に東京まで何しにいくんだ」と軽く受け止めておりました。「旅費は、あちらさんで持ってくれるんですから、どのようなもなのか見てきたらいかがですか」という副所長の言葉に、「どうせ誰かが代表で表彰を受け、私はその他の救助活動をし

 

 

 

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