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京都府は北部において日本海に面し、救難所が設置されている舞鶴市をはじめ、沿岸部の市町村には京阪神地区からの海洋レジャー客が多く訪れます。

ゴールデンウィークから秋頃まではプレジャーボートや釣客が増え、夏場には遊泳者が加わり大変な賑わいをみせ、これに比例して沿岸における海難事故もピークを迎えます。

7月12日午前8時50分、舞鶴港を航行中の遊漁船の船長から「乗船者の釣客が海中転落し、行方不明となった。」との通報が当保安部に入り、救難所に出動を要請。これが第一回目の出動となり、以後出動回数は急増することとなりました。8月14日に舞鶴市の西隣に位置する宮津市の海水浴場で発生した遊泳者の行方不明事故、また12月13日に出動した冠島(舞鶴港沖合約10海里の若狭湾に位置)付近海域での漂流プレジャーボートの曳航救助では、事故発生海域付近を航行中の舞鶴DSCC救難所所属船(所員)が事件発生を認知し、現場に急行できたものです。

救難所の所属船は現在10隻で、普段はその殆どがダイビングボートとして使用されており、主に舞鶴港と冠島周辺のダイビングスポット間を往来しており、舞鶴港及びその周辺海域の海難に対して即応できる体制がとられています。

12月13日に発生した漂流プレジャーボートについては、当時、南西の風が約8メートルで、付近は暗礁の多い海域であり、救助が遅れば風潮流により船体が流され、乗揚げ、転覆となる可能性が強く、また日没前の事故発生であったことからも早期の救助が必要となる状況下でした。

出動結果は、救助艇が漂流船を発見し、舞鶴港まで曳航、乗組員4名が無事救助されました。

12月24日、韓国底引き網漁船(総トン数42トン)が絡網し、自力航行不能となり、推進器に絡網した漁網、ロープ等の除去作業を行なうため救助艇が出動中、同漁船を曳航していた僚船ともども、強風により圧流され始めたことから、巡視艇と協力し伴走警戒を開始し、舞鶴港内にて除去作業が行なわれました。

冬場の日本海は時化ることが多く、海洋レジャー客は少なくなるものの、平成2年に発生したリベリア船籍貨物船「マリタイム・ガーデニア号」座礁重油流出油事故、平成9年に発生したロシア船籍タンカー「ナホトカ号」海難重油流出油事故等大規模な事故が発生する等危険の多い海域となり、救助活動も大変困難なものになります。

舞鶴港内においても10月28日と11月30日に車両が岸壁から海中転落する事故が発生し、この救助についても救難所としていずれも早期に出動していただきましたが、11月30日の事故については発生が午後11時35分で夜間の出動となり、巡視船の潜水員と協力して夜間における潜水捜索、海底の車輛内からの搭乗者の引き揚げ救助等、高度の潜水技術を持つ舞鶴DSCC救難所ならではの救助活動となりました。

8月14日に発生した福井県沿岸海域のレジャーダイバー行方不明事故では、地元の役場等からの要請に基づき出動。地元関係者と協力し、潜水による初期捜索を行う等、救難所の活動範囲は広範囲にわたりました。

 

 

 

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