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九州北部地区民間海難救助体制整備について

第七管区海上保安本部警備救難部

救難課 専門官 岩木 眞廣

 

1 はじめに

 

近年、一般市民による海洋レジャーが著しく活発化、広域化し初歩的な知識、或いは船舶運航の基本的なルールやマナーの欠如に起因する海難事故が年々増加する傾向にあり、海上保安庁は、これらの事故防止のために色々な施策を講じるとともに、巡視船艇等を効率的に配備して事故防止に努めておりますが、沿岸部における海難に対する、よりきめ細かな救助体制を確立するため、民間救助体制の育成と各救助機関の連絡体制の構築を推進してまいりました。

そうした中で(社)日本水難救済会は、従来の漁業者中心の組織から海洋レジャー関係者も参加して、全ての海難に対応できる幅広い組織とするため平成9年6月12日に定款改正を行い、地域に根ざした組織に改編することとなりました。

海上保安庁は、組織改編を全面的に支援する方針を打ち出し、水難救済会の支部が置かれていない県については、救難所を設置するとともに中核となる地方組織づくりを積極的に推進することとなり、第七管区海上保安本部でも平成9年から積極的な指導と支援を実施してきたところであります。

 

2 中核組織の独立及び救難所の設置指導・支援について

 

九州北部地区における水難救済会の現状は、平成9年4月の段階で福岡県(32救難所)と長崎県(36救難所11支所)に中核組織が存在し、本会直轄の救難所が佐賀県と大分県に各1箇所、山口県に2箇所が設置されておりましたが、同年4月末で山口県と佐賀県の救難所がそれぞれ1箇所廃止されるという状況もありました。

当管区では、管内全域に救難所を設置して各県毎に中核組織を構築し、県民が安心して漁業活動を行い、また、海洋レジャーが楽しめる「明るくて安全な海」の実現を目指すプロジェクトチームを編成し、関係海上保安部署との連携を図りながら、各県の自治体や水難救済会関係者と頻繁に接触して諸作業を進めてきた結果、昨年11月末には26救難所で構成する「大分県水難救済会」の、今年1月末には10救難所で構成する「佐賀県水難救済会」の設立をはじめ、管内のほぼ全域をカバーする救難所を設置することができ、福岡、長崎、山口の各県も平成11年度中には独立できるよう、関連作業を推進させるべく、鋭意支援を行なっているところです。

 

 

 

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