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日本水難救済会会報の発刊によせて

海上保安庁長官 楠木 行雄

 

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平成11年度(社)日本水難救済会会報「マリンレスキュー」の発刊にあたり、一言ご挨拶申し上げます。

(社)日本水難救済会におかれましては、明治22年の創立から現在までの永きにわたり、我が国の民間救助組織の中核として、人命財産の水難救済に多大な貢献をされて参りました。

これまでの貴会の救助活動によって救われた多くの尊い人命は何物にも代え難いものであり、昨年におきましても、稲取救難所員の皆様方により、伊豆稲取沖合において黒煙を上げて炎上しているヨットの乗組員9名全員を救助されるなど、340名の尊い人命を救助されており、貴会の活動に改めて敬意を表したいと思います。

また、昭和60年から貴会が事業主体となって行われております洋上救急事業は、事業を開始して以来の出動件数が昨年10月に400件を達成し、船舶上の傷病者に対する迅速な洋上救急往診を実現するものとして、海事関係者のみならず、広く一般からも高く評価されているところであります。

最近の我が国周辺海域における海難発生件数は全体としては減少傾向にあるものの、逆に沿岸海域での海難、特に海洋レジャーに伴う事故は増加傾向にあり、平成9年には漁船海難を抜いて1位となり、平成10年においてもその傾向は変わっておりません。

これらの海洋レジャーに伴う海難におきましては、その性格上、沿岸海域で発生する確率が高く、また、長大な海岸線を有する我が国の地理的条件や、その救助に迅速性、機動性が求められていることからも、民間の方々による救助活動がきわめて重要となっております。このような中、貴会におかれましては、昨年、ライフセービング活動支援事業等を始められ、更なる救助体制の充実強化を図っていると聞いております。

また、平成9年の総会において組織改編の推進を議決され、組織改編の作業を進められておりますが、平成11年3月1日現在、12箇所の支部が独立され、救難所については、536箇所となっており、これまでの作業の成果が着実に表れてきております。特に本年は、組織改編最後の年でありますので、海上保安庁といたしましても、貴会の組織改編の推進について一層の支援をしていきたいと考えております。

最後に、貴会のこれまでの活動に重ねてお礼を申し上げるとともに、今後のますますのご発展を祈念致しまして、私のご挨拶とさせていただきます。

 

 

 

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