5 心肺蘇生の打切り
心肺蘇生の必要な傷病者は、生と死の境にあるので、呼吸や心臓の動きが十分回復した場合、つまり、傷病者の胸が上下に大きく動いて呼吸が楽になり(毎分10回以上)、頸動脈やとうこつ動脈(手首の親指側の動脈)が毎分50回以上感じられるようになった時以外には心肺蘇生を中止してはならない。
IV 止血法
人体の各種作用は、絶え間ない血液の循環によって営まれている。多量の血液を短時間のうちに失うと重大な障害を起こす。
多量の失血があると、生体の細胞に酸素を供給する赤血球を失うために、身体の組織は酸素不足となる。また、失血のため血圧は低下し、脈拍が増加する。更に、心臓に戻ってくる血液の量が少ないため、心臓の搏出力が低下する。
出血がそのまま続くと、この悪循環は更に進行し、身体は一層重大なショックに陥る。このため、大出血のある傷病者に対しては、心肺蘇生の他に、出血を一時に止める処置が極めて重要である。
(1) 直接圧迫止血法
傷口にガーゼ等を直接当てて強く圧迫して止血する。包帯があれば、ガーゼ等の上から包帯で巻くが、この場合あまり強く巻く必要はない。止血が止まる程度に圧迫すればよい。
なお、傷口を心臓より高い位置にすると、より一層止血効果が得られる。