2. 首相府 海洋問題事務局
2人の海軍行政官は、説明の冒頭、次のとおり切り出した。
フランスには、日本の海上保安庁、米国のコースト・ガードのような組織はない。また、その必要もない。
フランスには、10政府部門以上が海に関する諸種の責務を有しているが、人命救助、海洋保全という2つの問題に関しては、関係する政府部門間・機関間の調整役機関をつくり推進するということとなり、丁度3年前に、首相を長とする「海洋問題事務局」が発足したということである。
その概要は、次のとおり。
(1) フランス政府は、海上における人命救助と海洋汚染防止という2つの問題については、次の2つの原則を基にした組織的な構想を展開した。
-各公的機関は、所管する自身の責務を海上で行う。
-調整が必要な時はいつでも、活動の現場へ最も近い、強力で、かつ、異論のない当局が調整を始める。
この権限は、海域を指揮管轄する海軍管区長官(Prefets maritime)に与えられている。
(2) 国の組織
海洋問題事務局は、その長は首相であり、次の業務を行う。
-海外を中心に海上における国家活動の調整
-海軍管区長官の管轄海域での活動の指揮及び調整
-各種の事故に対するあらゆる緊急対応計画をアップ・デートにしておく。