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また、過失要件との関係という観点から、国際違法行為責任における「違法性」要件を考察するものとして、拙稿「国際違法行為責任における過失の機能」国際法外交雑誌、第96巻第6号(1998年)、1頁以下。

(9) 同上、11─12頁。

(10) 同上、11頁以下。

(11) 232条が、国家と国家との関係において、国際法上の国家責任の規定であるという立場、あるいは、少なくとも、国家責任の規定であるという解釈を排除しない立場からは、同条が、伝統的な国家責任法の確認であり、すなわち、違法行為責任を規定しているという見解が多い、たとえば、R.-J. Dupuy and D. I. Vigne eds., A HANDBOOK OF THE INTERNATIONAL LAW OF THE SEA, Vol.2, p.1227; Nordquist, op. cit., p.380.

(12) 前註参照。

(13) Norcquist, op. cit., pp.378─380.

(14) 本稿では、この問題は扱わないが、たとえば、我が国の法制については、次のような問題が検討される必要があろう。第一に、国家賠償法1条1項の国家の責任は、行為者の「代位責任」という構成をとるが、これが、232条の規定する「国家」の責任と適合するか、第二に、同項の規定する要件、「故意・過失」と「違法性」は、232条の要件と適合するか、第三に、そもそも、国家賠償法の立法趣旨に照らして、それが、たとえば、排他的経済水域沿岸国の執行措置から、船舶の航行利益を保護するという232条(国連海洋法条約第12部第7節「保障措置」の一環としての規定)の趣旨と調和するか、第四に、国家賠償法の域外適用(排他的経済水域や大陸棚での適用)は適切か、などである。

(15) 無論、前註にあげたような問題は別途検討を要する。

(16) 具体的な先例の分析として、臼杵前掲、第31巻第2号、202頁以下。

(17) 実定国際法上、そうした制限が規定されている例もある、たとえば、1966年国際人権規約B規約、9、10、12条など。法的拘束力はないが、1974年天然資源に対する恒久主権に関する決議、4項など。

(18) これらの解釈の検討については、拙稿「海洋環境保護に関する関係法令とその執行(船舶起因の海洋汚染を中心として)」『新海洋法の展開と海上保安』第2号、平成9年度「海洋法条約秩序における新海上保安法制の体系化など調査研究」事業報告書、1998年、111─116頁。したがって、5項と6項との間に、汚染行為や汚染状況という観点からの比例性が成立しているとはいいきれず、執行措置と汚染行為の程度との比例性が、220条3、5、6項を通じて原則化されているとも必ずしもいえない。

 

 

 

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