日本財団 図書館


担保金の保管は主務大臣が行い(海洋汚染防止法第67条第1項、海洋汚染防止法施行令第22条)、違反者がその求められた期日31及び場所に出頭せず、又は返還された押収物で提出を求められたものがその求められた期日及び場所に提出されなかったときには、求められた期日の翌日から起算して1か月を経過した日に国庫に帰属する(海洋汚染防止法第67条第2項本文)。ただし、当該期日の翌日から起算して1か月を経過する日までに、当該期日の翌日から起算して3か月を経過する以前の特定の日に出頭し又は押収物を提出する旨の申出があった場合において、その申出に係る特定日に違反者が出頭せず、又は押収物を提出しなかったときは、担保金は、その翌日に国庫に帰属する(海洋汚染防止法67条2項ただし書、3項)。また、事件に関する手続が終結した場合等その保管を必要としない事由が生じた場合には、担保金は、保管しておく意味がないので、返還される(海洋汚染防止法第67条第4項)32

 

5 ボンド制度における釈放後の手続きとボンドの性格

 

EZ漁業法及び海洋汚染防止法によれば、上記のとおり、いずれも担保金等の提供の通知を受けたときは、違反者を釈放するとともに、押収物を返還するこことされている33

31 命令第6条は、出頭期日等の変更の申出について、法第67条第2項ただし書きの規定による申出は、次に掲げる事項を記載した書面により行わなければならない。1]申出を行う者の氏名又は名称及び住所、2]事件に係る船舶の名称、3]逮捕等の年月日、4]違反者が出頭する年月日又は押収物を提出する年月日、5]前号の日に出頭する違反者の氏名又は提出する押収物、6]その他必要な事項。

32 海上保安庁海上環境課によれば、平成8年7月20日からボンド制度を適用し、平成10年11月11日までに事件処理をした件数は108件であるとのことである。そのうち、領海・内水について平成8年15件、平成9年32件、平成10年27件と計74件、また、排他的経済水域では平成8年5件、平成9年18件、平成10年11件で計34件ということである。

33 EZ漁業法では、船舶の押収又は船長その他の乗組員を逮捕することを拿捕と定義して担保金制度を規定している(第24条第1項)が、海洋汚染防止法においては、船長その他の乗組員の逮捕及び船長その他の乗組員又は船舶所有者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由が認められて船舶又は船舶国籍証書等の文書の押収がなされた場合とを担保金の対象としている。これは、それぞれの保護法益の相違に基づく違反の捉え方の相違によるものと解される。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION