また、保証書については、同条同項第2号が、1]保証書が提供された日の翌日から起算して1月以内に本邦通貨で提供されることを保証するものであり、かつ、当該保証書に記載されているところに従って担保金が確実に提供されると認められるものであって、2]保証書に係る担保金を提供する者が同条同項第1号に定める担保金の提供者として挙げる者に該当すること、を要件として、担保金の提供期間と同じ期間内に提供されることを求めている26。
(4) 主務大臣は、担保金27又は保証書28が提供されたときは、遅滞なく、その旨を取締官又は検察官に通知するもの(海洋汚染防止法66条1項)とされ、また条件が付された場合(海洋汚染防止法第65条第3項)において、必要な措置がとられたと認めるときは、遅滞なく、その旨を取締官又は検察官に通知するものとされる(海洋汚染防止法第66条第2項)。
そして、取締官は担保金等の提供の通知を主務大臣から受けたとき(海洋汚染防止法第65条第3項の条件が付された場合にあっては、必要な措置がとられたことの通知を受けたとき)は、遅滞なく、違反者を釈放し、押収物を返還しなければならない29(海洋汚染防止法第66条第3項)。また、同様に、検察官も担保金等の提供の通知を主務大臣から受けたとき(海洋汚染防止法第65条第3項の条件が付された場合にあっては、担保金等の提供の通知及び必要な措置がとられたことの通知を受けたとき)に、遅滞なく、違反者の釈放及び押収物の返還に関し、必要な措置を講じなければならない30(海洋汚染防止法第66条第4項)。
26 なお、漁業法期間の末日が日曜日若しくは土曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日又は1月2日、同月3日若しくは12月31日に当たるときは、その日は、当該期間に算入しない(海洋汚染防止法施行令第21条第2)。
27 命令第4条は、担保金を提供する者は、主務大臣に対し、次に掲げる事項を記載した担保金提供書を併せて提出しなければばらない。この場合においては、保管金取扱規程(大正11年大蔵省令第5号)第5条第1項又は第2項の保管金提出書を省略することができるとする。1]担保金を提供する者の氏名又は名称、住所及び違反者との関係、2]事件に係る船舶の名称、3]違反者の氏名、4]逮捕等の年月日、5]提供する担保金の額、6]担保金の提供の年月日、7]その他必要な事項、をあげる。
28 命令第5条は、保証書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。1]担保金の提供を保証する者の氏名又は名称、住所及び担保金を提供する者との関係、2]事件に係る船舶の名称、3]違反者の氏名、4]逮捕等の年月日、5]提供する担保金の額、6]担保金を提供する者の氏名又は名称、住所及び違反者との関係、7]第5号の額の担保金が海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令(昭和46年政令第201号)第21条第1項第2号イに規定する期間内に本邦通貨で提供されることを保証する旨、8]保証書の提供の年月日、9]その他必要な事項、とする。
29 共犯事件の場合には、すべての共犯関係にある違反者に対して、一括して一個の告知がなされればよいとされる。小倉・前掲解説121頁。
このように解すれば、告知を受けた共犯者のうちのいずれかの者から担保金が提供されれば、すべての違反者の釈放及び押収物の返還がなされることとなる。
30 小倉・前掲解説121頁参照。