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また、本法における釈放制度の対象とならない外国船舶として、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令」(平成8年政令第192号)により改正された後の「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令」(昭和46年政令第201号。以下「海洋汚染防止法施行令」という。)第19条第1号で、本邦の内水及び領海の海底及びその下における活動に従事している外国船舶、第2号で、本邦の大陸棚における天然資源の探査及び開発並びに本法の大陸棚の掘削に従事している外国船舶をそれぞれ適用除外とすることを定めている。

(2) 海洋汚染防止法第65条第1項に定める司法警察員たる「取締官」18は、第65条第1項の規定により、海洋汚染防止法の規定に違反した罪に当たる事件であって、1]外国船舶に係るものに関して船長その他の乗組員の逮捕が行われた場合、又は2]右事件に関して船舶又は船舶の国籍を証する文書その他の船舶の航行のために必要な文書19(以下「船舶国籍証書等」という。)の押収が行われた場合であって、船長その他の乗組員又は船舶所有者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認められるときには、当該船舶の船長及び違反者(当該船舶の乗組員に限る。)に対し、遅滞なく、以下の事項を告知しなければならない20。すなわち、1]担保金又はその提供を保証する書面が海洋汚染防止法第66条第1項21の政令で定めるところにより主務大臣22に対して提供されたときは、遅滞なく、違反者は釈放され、及び船舶、船舶国籍証書等その他の押収物は返還されること、2]提供すべき担保金の額、3]海洋汚染防止法第65条第3項の規定により条件を付する場合はその条件、について告知する23

18 海洋汚染防止法施行令第18条により、海上保安官及び警察官とされている。

19 具体的には、船舶法上の船舶国籍証書に相当する文書、又は船舶安全法上の船舶検査証書及び臨時航行許可証をいう。

20 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第65条第2項第1号に規定する担保金の提供等に関する命令(平成8年総理府・運輸省令第1号)第2条は、法65条第1項の規定による告知は、告知を受ける者に対し、次に掲げる事項を記載した書面を交付することにより行う、とし、1]事件に係る船舶の名称、2]違反者の氏名、3]逮捕又は押収(以下「逮捕等」という。)の年月日、4]違反の類型、5]法第65条第2項各号に掲げる事項、6]担保金(担保金の提供を保証する書面(以下「保証書」という。)に記載されているところに従って提供されるものを除く。)又は保証書(以下「担保金等」という。)の提供期限、7]担保金等の提供場所及び提供先、8]告知の年月日、9]告知をする取締官の氏名及びその者が法第65条第1項の取締官である旨、10]その他必要な事項、をあげる。

21 海洋汚染防止法第66条第1項は、「前条第1項の規定により告知した額の担保金又はその提供を保証する書面が政令で定めるところにより主務大臣に対して提供されたときは、主務大臣は、遅滞なく、その旨を取締官又は検察官に通知するものとする。」と規定する。

なお、検察官は、海洋汚染防止法第65条第1項に規定する取締官には含まれず、法第65条1項にいう担保金等の告知を行う権限はない。

22 海洋汚染防止法施行令第22条は、「海上保安官に係る事件については運輸大臣、警察官に係る事件については内閣総理大臣」とすると規定する。

23 海洋汚染防止法には、船舶所有者が犯罪主体となる身分犯規定があるが、当該船舶所有者が違反船舶に乗り組んでいない場合には、告知の対象者が当該船舶の乗組員に限られているので、当該船舶所有者には告知の必要はないとされる。小倉・前掲解説116頁参照。

 

 

 

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