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ただし、この場合でも、申出に係る特定の日に出頭等がなければ、担保金はその翌日に国庫に帰属する(第26条第2項但書、同条第3項)。

違反者が求められた期日及び場所に出頭する等により事件に関する手続が円滑に進行し、終結した場合等には、担保金を保管しておく意味がなくなるので、これを返還することとなる(第26条第4項)。

 

4 海洋汚染防止法におけるボンド制度の概要

 

国連海洋法条約の批准に伴う国内法整備として改正された海洋汚染防止法における担保金等の提供による早期釈放制度(第65条ないし第69条)の概要は、以下のとおりである。

(1) 海洋汚染防止法におけるボンドの適用対象となる事件は、海洋汚染防止法の規定に違反した罪(第55条ないし第58条及び第59条)にあたる事件である17

しかし、海洋汚染防止法は、「排他的経済水域における海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律等の適用関係の整理に関する政令」(平成8年政令第200号)によって、排他的経済水域における特定の外国船舶について担保金等の提供による釈放等の規定の適用が除外されている。

17 国連海洋法条約は、旗国に対し、「国の法令が自国を旗国とする船舶に対して定める刑罰は、違反が行われる場所のいかんを問わず、違反を思いとどまらせるために十分に厳格なものでなければならない。」(第217条第8項)としつつ、「海洋環境の汚染の防止、軽減及び規制のための国内法令又は適用のある国際的な規則及び基準に対する違反であって、領海を越える水域における外国船舶によるものについては、金銭罰のみを科することができる。」(第230条第1項)とし、さらに「海洋環境の汚染の防止、軽減及び規制のための国内法令又は適用のある国際的な規則及び基準に対する違反であって、領海における外国船舶によるものについては、当該領海における故意によるかつ重大な汚染行為の場合を除くほか、金銭罰のみを科することができる。」(第230条第2項)とする。

国連海洋法条約締結を契機として、平成8年の海洋汚染防止法の改正では、船舶における違反行為に関する懲役刑及び禁固刑を廃止し、罰金額の引き上げが行われた。

なお、罰金刑相当事案は、本来、簡易裁判所が事物管轄を有する(裁判所法第33条第2号)が、罰金額の多寡により、海洋汚染防止法第55条ないし第56条の罪については、地方裁判所の管轄とされている(海洋汚染防止法第64条)。

 

 

 

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