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(ii) これらの期間よりも短い期間が定められることを想定して、法律上も船舶所有者が就業規則その他これに準ずるものにより、(i)で定める期間の範囲内でこれより短い期間を基準労働期間として定め得ることとされた。この場合、「その他これに準ずるもの」とは、第97条の規定により就業規則を作成する義務のない常時10人未満の船員を使用する船舶所育者を対象としたものであり、船舶所有者は文書でこれを定め、船員に周知しなければならないこととなっている。

また、労働協約が締結される場合には、労使の対等の立場に立った合意による労働条件の適切な管理が期待でき、むしろ船員の要望にも応じうるので、船舶の区分にかかわらず、労働協定により1年以下の範囲内で基準労働期間を定められることとなっている。

(iii) 基準労働期間は、すでにその期間が開始している場合を除き、乗船日から起算されるが、乗船中に基準労働期間が満了した場合は、その終了した日の翌日から起算される。

(iv) (iii)の方式では、基準労働期間の起算日は、個々の船員ごとに乗船日に応じて定められ、順次更新していくこととなるが、実際の労務管理の必要性を考慮し、次の要件を満たしている場合は、就業規則その他これに準ずるものにより起算日を定めることができることとされた。

〈1〉 就業規則等により、あらかじめ起算日を定めていること

〈2〉 就業規則等に定められた休日の日数が、法定の1週間当たりの労働時間及び休日の基準を満たしていること

4] 休日(第61条)

休日制は、労働者に休養を与え心身の健康を確保するという目的とともに、労働者に市民としての生活にあてる日を提供するという労働時間制とは異なった目的を有するものであり、労働時間制と並ぶ労働保護の大きな柱の1つであることから、基準労働期間について1週間当たり平均1日以上の休日の付与を定めている。

5] 補償休日

(i) 補償休日の付与(第62条第1項及び第4項、則第42条の3)

補償休日制は、航行中は連続して労働せざるを得ないことなどの海上労働の特殊性から、乗船期間中に休日を確保することは量的にも質的にも困難であることなどを踏まえて、休日の確保を容易かつ実効性の高いものとし、乗船中・下船中の期間を通じて労働時間の短縮を図る目的で創設されたものである。その内容は、海員の労働時間が1週間において40時間を超える場合にはその超える時間、また1週間において週休日が与えられない場合には、それを与えられないことに対する補償としての休日を、基準労働期間内において別途付与することを義務付けられることとなっている。

週休日及び補償休日が休息条件として十分な環境下にあることを確保するため、これらの休日は陸上休日又は停泊中の休日に限ることとした。ただし、労働協約に特別の定めがある場合には、航行中の休日でも差し支えないこととなっている。補償休日の付与に当たっては、その時期及び場所をその7日前までに通知しなければならない。

 

 

 

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