1] 船員が著しく職務に不適任であるとき。
2] 船員が著しく職務を怠ったとき、又は職務に関し船員に重大な過失のあったとき。
3] 海員が船長の指定する時までに船舶に乗り込まないとき。
4] 海員が著しく船内の秩序をみだしたとき。
5] 船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。
6] 1]から5]までの場合を除いて、やむを得ない事由のあるとき。
(3) 船員による雇入契約の解除
船員は、雇入契約の期間の定めにかかわらず、次の場合には雇入契約を解除することができるようになっている(第41条)。
1] 船舶が雇入契約の成立の時における国籍を失ったとき。
2] 雇入契約により定められた労働条件と事実とが著しく相違するとき。
3] 船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。
4] 船員が学校教育法による学校、海技大学校、海員学校又は水産大学校における教育を受けようとするとき。なお、この場合は、少なくとも7日以前に船舶所有者に書面で解除の申入れをしなければならない(則第17条)。
5] 船長の適当と認める自己の後任者を提供したとき。
また、船舶が外国の港からの航海を終了した場合において、その船舶に乗り組む船員が、24時間以上の期間を定めて書面で解除の申入れをしたときは、その期間が満了した時に、その者の雇入契約は終了する。
(4) 期間の定めのない雇入契約
期間の定めのない雇入契約は、船舶所有者又は船員が24時間以上の期間を定めて書面で解除の申入れをしたときは、その期間が満了したときに終了することとなっている(第42条)。
また、船舶所有者が変更になった場合には、雇入契約は終了となる((1)参照)が、終了した時点では船員と新しい船舶所有者との間には、終了前と同一の条件の雇入契約があるものとみなされ、この場合には、期間の定めのない雇入契約として、船員は前記の方法により、雇入契約を解除することができることとなっている(第43条第2項)。
4. 雇入契約の終了に伴う船舶所有者の義務等
雇入契約の終了は、予備船員制度のない企業の船員にとっては、直ちに解雇を意味するところとなり、従ってかかる船員は、その時から生活の糧を得る道を失うこととなる。そこで船員法では、船舶所有者に対して以下に述べるように、一定の場合には解雇を制限し、また、解雇(雇入契約の終了)に際して船員に諸手当の支給義務付けている。
(1) 解雇制限
船舶所有者は、次に掲げる期間内にあっては船員を解雇することができないこととなっている。