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(2) 一括公認

船員の乗組みを同一の船舶所有者に属する航海の態様が類似し、かつ、船員の労働条件が同等である2以上の船舶相互間において変更させる必要がある場合においては雇入契約の公認が煩雑になることも考えられるため、船舶所有者は所轄地方運輸局長から一括して公認の許可(*1)を受けることができることとなっている。その許可に係る船舶に乗り込む船員の雇入契約は、これらの船舶のすべてについて存するものとして、公認申請を行うこととなり、この場合、公認申請は、所轄地方運輸局長の指定した地方運輸局等の事務所においてしなければならないこととなっている(則第22条)。

(*1) 一括公認の許可を受けようとするときは、一括公認許可申請書(則第九号書式)2通を所轄地方運輸局長に提出しなければならない。

 

(3) 船長の就退職等の証明

雇入契約のない船長は、履歴証明、再就職に必要な場合には、船長としての就職又は退職並びにその乗り組む船舶の名称、総トン数、主機の出力、航行区域若しくは従業制限及び従業区域並びに用途又はこれらの変更について船員手帳に地方運輸局長の証明を受けることができることとなっている。

この証明の申請については次の要領により行うこととされている(則第24条)。

1] 申請先・・・最寄りの地方運輸局、海運監理部又は海運支局

2] 提示書類及び提出書類

イ. 海員名簿

ロ. 船員手帳

ハ. 海技免状(退職又は船舶の名称の変更について証明を申請する場合を除く。)

ニ. 船長就退職等証明申請書(則第十一号書式)

なお、上記提示書類以外に、必要に応じ漁船の従業する区域を証する書類、船舶国籍証書、船舶検査証書その他の船舶に関する事項を証する書類の提示を求められる場合がある。

3] 手数料・・・830円(収入印紙を申請書にはって納付する。)(則第79条)

 

3. 雇入契約の終了

雇入契約は、契約期間の満了、当事者の死亡により当然に終了するが、船員法は、さらに雇入契約の性質上当然終了する場合を法定するとともに、船舶所有者の専断的解除から船員を保護し、無制限な解除による航海の安全への支障を防止するため、雇入契約を解除できる場合を限定している。

 

(1) 船舶の沈没及び船舶所有者の変更による雇入契約の終了

雇入契約は、船舶が沈没もしくは滅失したとき、又は全く運航に堪えなくなったときは終了することとなっている(第39条)。また、相続その他の包括承継の場合を除いて、船舶所有者の変更があったときは雇入契約は終了するが、この場合、雇入契約終了の時から船員と新所有者との間に従前と同一条件の雇入契約が存するものとみなされる(第43条)。

 

(2) 船舶所有者による雇入契約の解除

船舶所有者は、雇入契約の期間の定めにかかわらず次の場合には雇入契約を解除することができることとなっている(第40条)。

 

 

 

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