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また、同居の親族のみを使用する船舶については、船員法の労働関係の規定は適用されない(第6条、労働基準法第8条(*1))。

(*1) 労働基準法は平成10年に改正され(平成11年4月1日施行)、この規定は第116条第2項に移された。

 

(4) 船員法の適用がある船員は、日本船舶等に乗り組み、あるいはこれに乗り組むために雇用されていることが必要であるが、ここで「乗り組む」とは、船舶共同体の一員として船内航行組織(船内作業組織)に継続的に加入することであって、生活の本拠が船舶内にあることを必須の要件とするものではなく、また物理的に乗船していても「乗り組む」に該当しない者は船員法上の船員ではないとされている(*2)。

(*2) 船員法上の「乗り組む」に該当するかどうかの基準は船内航行組織に継続的に加入しているかどうかとされているが、具体的基準は次のとおりとされている。

1] 試運転中またはぎ装完成前に、他の造船所に回航される新造船には、通常船内航行組織が未だ形成されていないものとみられるから、乗船しても「乗り組む」には該当しない。

2] 長期係船の場合、船舶の航行組織を解放するものであるから、係船要員の乗船は「乗り組む」に該当しない。

3] 気象観測船が観測を任務とする以上、年間継続であると、期間毎の継続乗船であることを問わず、気象観測船は「乗り組む」に該当する。

4] サルベージ船は、船舶の救助、引揚げを任務としているものであり、サルベージ作業も船内作業の一つであるから、乗船してサルベージ作業に従事することとされている者は「乗り組む」に該当する。

5] セメントタンカーの用途からいって、袋詰作業は船内作業の1つであるから、継続的に乗船する袋詰作業員は、「乗り組む」に該当する。

6] 船側の検数業務は、船内作業の1部であるから、継続的に乗船する検数員は「乗り組む」に該当する。

7] 船内で事務長・員として業務に従事する以上、用船事務長・員は船舶所有者の如何を問わず、「乗り組む」に該当する。

8] 機関保証技師は、新造船に乗船して機関の整備箏についての指導助言を行うものであり、船内航行組織に加入しているとは認められないから、「乗り組む」に該当しない。

9] 船内弱電関係機器の保守整備に当るため、北洋漁業、南氷洋捕鯨業等の母船にその操業期間中乗り組む技術者は、「乗り組む」に該当する。

10] 便乗商社員、貿易事情調査員は、海外渡航手続上の便宜のため乗船しているものであり、船内作業組織の一員ではなく単なる便乗者と考えられるから、船員ではない。

11] 造船所の技師のように、労働基準法の適用を受けている労働者が船内で短期間勤務する場合は、船員法上の船員ではない。

12] 観光会社の事務員がガイド等として連日観光船に乗船するが、1日の乗船時間が短く、1日の労働時間の大部分を陸上の事務員として遇している場合のように、労働基準法の適用を受けている労働者が船内で勤務するが、主たる勤務場所は陸上にあると認められる場合、船員法上の船員ではない。

 

 

 

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