第11章 航行上の条件
船舶の検査が行われ、船舶の構造及び設備が定められた技術上の基準に対していかなる適合状態にあるかが確認された場合に当該船舶の使用限界が明らかとなる。従って、当該船舶の使用限界を守って航行の用に供することが、船舶の堪航性を確保しその安全な航行に寄与することとなるのである。
船舶安全法は、このような観点から定期検査を行い、検査時における使用限界を定め、これを当該船舶の航行上の条件とし、その遵守を義務付けているのである。
これらの条件には、航行区域(漁船にあっては従業制限)、最大とう載人員、制限汽圧、満載喫水線及びその他の航行上の条件が含まれ、それが、船舶検査証書に、記載される(法第5条、第8条、第9条及び施規第5条から第12条まで)。
第1節 航行区域
船舶が安全に航行するためには、当該船舶の大きさ、構造及び設備に応じ、その航行できる区域を限定する必要がある。このため船舶安全法においては、検査によって、申請のあった航行区域を安全に航行し得る船舶であることの確認を行ったうえで、当該船舶の航行区域を定めているのである(漁船を除く)。
1 航行区域の種別
航行区域は、平水区域、沿海区域、近海区域、遠洋区域の4種に区分されており、技術上の基準の適合状況によって、いずれかの区域を定められることとなる(施規第5条)。
(1) 平水区域
湖、川及び港内の水域並びに船舶安全法施行規定第1条第6項に掲げる49の水域
(2) 沿海区域
北海道、本州、四国、九州及びそれに属する特定の島、朝鮮半島並びに樺太本島(北緯50度以北の区域を除く。)の海岸ほぼ20海里以内の水域であって船舶安全法施行規則第1条第7項に掲げる11の水域
(3) 近海区域
東は東経175度、西は同94度、南は南緯11度、北は北緯63度の線により囲まれた水域
(4) 遠洋区域
全ての水域