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これまで船社は港務局が提供する施設を利用することが求められ、利用不可能な場合のみ自社設備を利用できたが、この場合も管理手数料を港務局に支払わなければならなかった。

高雄港務局では、No.5ターミナル以外のターミナルでも、借受者所有の荷役機械の導入を認めるようになった。さらに借受船社は、港務局の許可を受ければ、同一アライアンス内等の他船社にもバースを利用させることができるようになった。前述のとおり、自由に民間の港湾運送事業者と契約できるようになったこととあわせ、コンテナ・ターミナルの運営効率改善が進んでいる。

 

(4) オフショアシッピングセンター

オフショアシッピングセンターの整備は、アジア太平洋地域オペレーションセンターの一環として進められている。1995年5月、「海外海運センター設置作業弁法」が公布され、高雄港で他港に先駆けて実施された。

オフショアシッピングセンターの競争力を強化するため、転送貨物の取扱い費用を低下させることが重要である。このため、97年4月、中台直航開始とともに、転送コンテナ積卸料金を引き下げた。この結果、コンテナ1個当たりの取扱いコストは、香港より少なくとも100ドル安くなった。

今後、オフショアシッピングセンターは、隣接する製造センターの保管転送専用区と経済貿易特区計画と連動して整備される予定である。

 

(5) 中台直航化

国際環境変化へ適応しアジアのハブとなるうえで、中国との直航は重要な課題である。台湾企業の中国に対する投資額は43億3,000万米ドルに及び、貿易総額は244億5,000万米ドルに達する(1997年)。

しかし、民間主導型で進められる中国との交流拡大に対し、台湾政府はこれまで中国との貿易関係拡大は経済依存度が高まり政治的自主性を失うことにつながるとの見地から直航を制限してきた。段階的な開放が始まったのは、ようやく90年代後半になってからであった。

第一段階として、高雄港オフショアシッピングセンターで、便宜置籍船を利用した高雄〜福州、廈門のトランシップ貨物輸送が始まった。96年8月、中国は「両岸海運管理弁法」を公布し、「通関せず、国内搬入せず」を原則としてトランシップ貨物の輸送を認めた。直航化を議論する民間組織として、台湾にTaiwan Strait Shipping Association of Taipei、中国にAssociation for Shipping Across the Taiwan Strait of Beijingが設立された。両者の協議後、中国側が双方の海運業者の申請を受理することとなり、これまで台湾側6社、中国側6社が航路を申請している。97年4月より正式に就航を開始しており、輸送量は増加を続けている。

直航開始に伴い、フィーダー航路を再編する遠洋航路船社も現れている。Maerskは、自社の廈門/香港フィーダーを残すものの福州/香港フィーダー航路を廃止し、福州/高雄航路の利用に切り替えている。

 

 

 

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