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また、自らは船舶を所有しないが、船社と契約して規則的な輸送サービスを荷主に提供する。このような役割を果たすために、フォワーダーはLCLカーゴを集荷し、上屋で混載してコンテナに仕立てるシステムを持たねばならない。そこでは、仕向け地が同じ貨物は一つのコンテナに詰め合わせ、仕向け地別に船荷証券を発行し、されに全体をまとめた船荷証券を発行して船社に引き渡す。このような集荷・混載を、シンガポールのフォワーダーは国際的に行ってきた。

 

(5) 企業活動のグローバル化におけるロジスティクスの重要性

企業のグローバリゼーションにともなって、ジャスト・イン・タイム・システム生産に対応した物流システムや、在庫調整、リードタイム中の商品の需要変動まで考えた物流システムに対する関心が高まっている。市場での競争が激しくなるにつれ、製造業は競争力の源となっている活動に集中し、どちらかといえば補完的な活動である製品の物流は第三者に外注する方針をとり始めた。また、製品の物流については、ロジスティクス、と呼ばれる生産から消費までのすべてのプロセスを視野において輸送コストを分析し、これを最小化するシステムを設計する傾向が顕著になっている。生産から消費までの物流コストを最小化する方法を設計するサービスへの需要は、フォワーダーに新たなビジネスチャンスを開きつつある。

シンガポールのフォワーダーが提供するサービスは多種多様である。本来の、輸出入に関連する業務を超えて、保管、在庫管理、コンテナの開貨、パレット化、包装、製品検査等、広い意味でロジスティクスに含まれる様々な活動を手がけてきた。1995年から97年にかけて、民間部門のフォワーダーがオートメーション・システムを備えた倉庫に新規投資した額は20億シンガポールドルを超えると報じられている。これらの新しい倉庫は、おもにクレメンティ・ループ、トー・グゥアン・ロード、チャンギ・サウス・エビエーション・ディストリゾーンに位置している。

チャンギ・サウス・エビエーション・ディストリゾーンは、チャンギ空港に隣接して設けられた物流センターである。同センターは面積38.8 ヘクタール、約30社の製造業が入る。また、チャンギ空港での輸出入に関連する業務、保管、在庫管理、コンテナの開貨、パレット化、包装、製品検査等のロジスティクス・サービスを行うフォワーダーを抱えている。

 

(6) シンガポール港運営(株)のロジスティクス・サービス

荷主の立場からすれば、物流に関連する作業を全体的にコーディネイトしてくれるロジスティクス・サービスが必要である。このロジスティクス・サービス市場にも、シンガポール港湾庁は触手を伸ばした。1997年5月、港湾庁内に倉庫・ロジスティクス部門(Warehousing and Logistics Division)を設け、同年10月1日にシンガポール港運営(株)に引き継いだ。現在、シンガポール港運営(株)はITを使って複雑なオペレーションを管理できるコンテナ・ターミナル・オペレーターとして、あらたにロジスティクス・サービスの開発にも取り組んでいる。

 

 

 

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