香港製造業の空洞化とそれとコインの裏表の関係にある華南圏への製造業の集積および中国地方政府によるコンテナ港湾建設と集荷優遇措置により、今後、香港港と華南圏との間の陸上輸送が華南諸港に振り向けられ、華南諸港が海外との間でダイレクト航路を増便・増設させる可能性は十分ありえる。
広東省以外でコンテナ港湾化を進めている中国国内諸港湾は図表II-2-19にあるとおりである。これら諸港湾は施設面あるいは水深面で香港港との間で大きく立ち遅れているが、華南、華中、華北の地元コンテナ貨物を集めつつある。これら諸港湾の多くは香港港等をハブ・ポートとするフィーダー・ポートであるが、一部はトランク・ラインの母船が寄港しつつある。
このように香港港は香港経済の華南圏への拡大=香港製造業の空洞化を背景としてその集荷圏を中国本土に大きく依存せざるをえない体質を持つ一方で、大荷主主導型物流の進展にともなう地元近接港湾の利用傾向の強化とそれによる中国国内コンテナ港湾間競争への否応のない参加を余儀なくされている。