(2) 華南経済圏におけるコンテナ港湾間競争の激化
広東省をはじめとする中国内部に製造業が移転し、コンテナ貨物需要が中国内部に拡散した結果、広東省をはじめとする中国沿海諸省・諸都市においてコンテナ港湾の建設ラッシュが発生している。
図表II-2-13は広東省の中でも最も香港に近接する3つのコンテナ港湾のコンテナ貨物取扱量の動向を示したものである。
(注1) 塩田港は1994年7月からの数字である。
(注2) バージ船で香港に運ばれた貨物を含んでいる。
出所:図表II-2-3に同じ
塩田、蛇口、赤湾各港湾は、それぞれそのコンテナ貨物取扱量を増加させており、94年の約20万TEUから97年(1月から10月の累計)の約93万TEUと5倍以上の伸びを見せている。とりわけ塩田港の伸びが著しい。またこれら3港湾の地理的位置を見てみると、香港港と比べて広東省に近接しており、かつ鉄道網も整備されている。
まず最初に3港の中で最大のコンテナ港湾であり、香港港がライバルと見なしている塩田港について見てみよう。
塩田港の現在の施設規模は図表II-2-15のフェイズI部分に概要が示されている。日本の港湾との比較では北九州港や博多港クラスの規模を持つ港湾である。現在、塩田港−香港港間に毎日4便のフィーダー船が就航しており、塩田港は香港港のフィーダー港という性格も持ちあわせている。当然、港湾サービスは1年365日フル稼働であり、香港港と比べて港湾関連コストは半分程度であると言われている。また塩田港の集荷圏は広東省、華北・華中、台湾で、華北・華中の貨物ではフィーダー貨物である。それ以外にも台中間貨物も取り扱っている。そして塩田港は、香港港のフィーダー港であると同時に、トランク・ライン上を航行するメガ・キャリアの大型コンテナ船も寄港している(図表II-2-14)。