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宮城県の海上貨物のフローにおける塩釜港の位置づけをみると、以下のとおりである。

1] 取卸港として、塩釜港はもっとも重要な位置を占めている。宮城県全体の輸入量について、重量では72%、金額では55%を塩釜港が占める。次いで、石巻港が宮城県全体の輸入量について、重量では19%、金額では16%を占めている。

2] 積出港としての塩釜港をみると、輸出重量では石巻港(宮城県全体の輸出量の29%)、東京港(同23%)に続いて第3位(同21%)にランキングされている。しかし、輸出金額でみると宮城県と結びつきが強いのは東京港(輸出量の52%)、横浜港(同22%)に次いで塩釜港(19%)となっている。

東北地方を消費地とする海上輸入コンテナ貨物の物流フローについては、東北6県の海上輸入量の35%を宮城県が占めている。ただし、コンテナ化率(その消費地の全消費量(金額)に対する外貿コンテナ貨物量(金額)の比率)は、重量で3%、金額で25%と相対的に低い。これらの貨物は、横浜港(重量40%、金額37%)、東京港(重量32%、金額44%)、塩釜港(重量5.8%、金額3.7%)、神戸港(重量5.4%、金額2.3%)で取り卸されている。

 

2) 集荷圏と集貨体制の問題点

今後の仙台港区の集荷目標として、東北6県約30万TEUのコンテナ貨物の約7割を扱うことを目指している。ちなみに、平成9年度のコンテナ取扱量は約2万7千TEUであった。集貨エリアとしては、福島市の北部あたりまでを想定している。

しかし、内陸の工業団地と仙台港区のつながりはまったく無い。仙台港区に近い工業団地としては、10年前に完成した仙台北部工業団地が、大規模な工業地域として北上工業団地が岩手県にあるものの、これらの貨物は7割から8割は京浜港を利用している。

現在、宮城県土木部港湾振興課が仙台港区のポートセールスを担当し、地元の一般貨物に関する情報収集に努力している。コンテナ埠頭開設にあたり、基幹航路に就航する船社に対してポートセールスを行った。情報収集には、地元の港運業者2社のOBと協力して地元貨物の所在について聞き込み調査を行い、これをもとに台湾のエバグローリー社にアプローチした。その結果、思いがけずエバグローリー社の親会社であるエバグリーン社が仙台港区に往復航で寄港することになった。

今後の対応として、平成11年度に地元のLCL貨物の分布状況について情報収集を行う予定である。しかし、仙台港区は工業港・流通拠点であるため一般貨物が集まりにくく、LCL貨物については集荷対策と呼べるほどの対応がとれないでいる。平成8年に完成した高砂コンテナ・ターミナルのCFSも、これまで使用されていない。週1回の寄港では、LCL貨物の荷主にとっては魅力がないと考えられる。そのため、中野埠頭にある塩竃港運送(株)と三陸運輸(株)がLCL貨物を集荷して内航フィーダーで東京港、横浜港に運びLC化している。

 

 

 

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