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国際物流と国内物流の融合そして上記のような実質上の港湾物流機能の空間的配置の柔軟化という現象、いわば「物流グローバル化」が進行しつつある。

「物流グローバル化」は第一に地域連携の構造変化をもたらす。すなわち、荷主が立地する地域が内陸部であったとしてもコンテナリゼーションの進展によって直接に外国(およびその内陸部)と連結できるようになった。このことは図表I-4-4のように、一面では港頭地区と内陸部物流基地との間の競争という形で現れているが、港湾機能の分担を港頭地区と内陸物流基地の間で行うことによって、新たな物流の空間システムを構築することも可能であることを示している。

第二に行政面から見るならば、地域経営の一部としての港湾経営という視点が必要になったことである。もはや港頭地区の経営と内陸部物流基地の経営とを切り離して考えるべきではないし、内陸部の産業振興と港頭地区の整備・開発は相互に連動させて進めなければならないのである。

 

2) 船社のニーズ

船社の日本港湾に対するニーズは、端的に言うならば、コストの削減とスピードの確保およびスケジュール調整の柔軟性である。具体的には、コストの削減に関しては港湾荷役料金や港湾使用料金など港湾関連コストの低減であり、スピードの確保については港湾管理業務の簡便化・情報化であり、スケジュール調整の柔軟性については安定的な荷役作業の維持と日曜・祝日荷役体制および24時間荷役体制である。

ハード(施設)面に関しては、すでに日本の主要港は大水深バースを持つところがあること、そして現在、日本のコンテナ貨物量はかつてほどには増加していないこと、および日本各地におけるコンテナ港湾整備によって拠点港湾にコンテナ貨物が以前ほど集中していないこと等から、さしあたり新たな大水深バースの建設等については、これ以上の投資は必要としていない。

 

3) フォワーダーのニーズ

1] 外国貨物取扱業者

外国貨物取扱業者のほとんどが、港頭地区に倉庫等の資産を抱えているため、そのニーズは港頭地区へ、より多くのコンテナ貨物を集めることのできる体制の整備にある。具体的には港頭地区の用地等の使用料の減額や港頭地区への内陸アクセスの整備、あるいは熟練労働者の確保である。またそれと関連して港頭地区における仕事量の不規則な変動の解消あるいはそれへの対応、すなわち、安定的な仕事量の確保も重要なニーズである。具体的には取扱貨物の変化に対応した法律改正の必要性、特に港頭地区の倉庫を輸入品取扱対応のものに柔軟に変更できること、港頭地区における労働賃金水準の柔軟化、新規事業を行う際の各種規制の緩和等である。

もちろん、外国貨物取扱業者にも規模の大小があり、それに応じてニーズも異なる。大規模フォワーダーは運送業、倉庫業両方を兼業しており、しばしば港運業務とともに内陸の運送・倉庫業務も行っている。

 

 

 

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