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したがって港頭地区の港湾物流業者から当該サービスを提供される場合よりも、彼らの利用港湾の選択の自由度は高い。そしてこのケースも、・コンテナ貨物の港湾素通り問題」のもう1つの重要な背景となっている。

 

図表I-4-3 中小荷主の港湾物流サービス提供者の選択

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3] door to door輸送とコンテナ港湾機能の空間的分散

コンテナ物流の最大の特徴の一つであるdoor to door輸送はコンテナ貨物の送り手と受け手の間では「シームレス」輸送の状態となる。したがって荷主間の物流業務は、基本的に、機械化・画一化された輸送・荷役だけとなる。その背景には、従来は港頭地区に限定されていた港湾物流サービス、とりわけ個別荷主対応的なサービスが港頭地区以外でも行われるという事態がある。このことを空間的に解釈してみると、図表I-4-4に見られるように、コンテナ港湾における物流サービスの発生地点が港頭地区に限られるのではなく、広く内陸のインランド・デポや荷主の工場・倉庫にまで分散しているということになる。このことが日本におけるコンテナ港湾機能の空間的再編成=分散をもたらしている1つの大きな原因である。

 

図表I-4-4 コンテナ港湾機能の空間的分散

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このように荷主の立場からするならば、利用するコンテナ港湾の選択肢は、単に複数のコンテナ港湾の間だけでなく、荷主の工場・倉庫、インランド・デポをも含んだものとなる。つまりコンテナ港湾の競争相手は、他のコンテナ港湾、インランド・デポ、荷主の工場・倉庫という3層構造になっていると言える。そして、このコンテナ港湾機能の空間的再編成は一方で空洞化する既存コンテナ港湾を生み出すとともに、他方で新規コンテナ港湾を台頭させているのである。

4] 「物流グローバル化」の射程

コンテナリゼーションの進展によって、かつてport to port型物流、すなわち、海上輸送(あるいは航空輸送)と陸上輸送および保管等のその他の物流形態とが別個のものとして機能していたものが、国際複合一貫輸送あるいは総合物流という形で、複数の輸送手段を利用し物流の諸機能を越えて統合されるようになっている。

 

 

 

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