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このように大西洋市場では、東航と西航の2市場を完全に同じ舞台と考えた運賃決定が全く純粋に行われていると見て良い。したがって問題は、行動相違型モデルの中で、即応型かラグ反応型かのいずれが有効かということになる。

 

図表I-2-8 大西洋市場の運賃決定関数

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(注) 計測のベースは東航市場である。

 

1) 即応モデルの限界─現実不適合なコンテスタブル市場─

図表I-2-8では、即応モデルの決定係数の方が僅かに高くなっているし、またコストの中の燃料費もプラス方向に作用し、フルコスト原則の部分的成立を支持している。

しかしこのモデルの注目するべき特徴は、ヨーロッパからアメリカに向かう西航市場の集中度がほぼゼロに近く、この市場がコンテスタブルな様相を示していることである。因みに東航市場における集中度弾力性は、(マイナス)0.328で、一方、西航市場のこの弾力性の調整値は、(プラス)0.3075であるから、西航市場の集中度弾力性は、

(-)0.328+0.3075=(-)0.0205

となる。     

 

 

 

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