2) 行動相違型即応モデルの選択
その結果、推定結果だけでは、いずれのタイプの市場が優勢であるのかを判断する事は困難である。とりわけ、構造の相違と行動の相違は、いずれも僅かな程度のものであって、東航市場の定数項レベルは、西航市場と比較して、1.5%(即応型)と0.3%(ラグ反応型)のレベル差に止まっており、また一方、行動の相違を現す東航市場の集中度弾力性レベルは、西航市場と比較して4.1%(即応型)と1.7%(ラグ反応型)の差があるにすぎないのである。なおこのような東航市場と西航市場の差の算出は、図表I-2-4の東航市場の付加係数(ダミー変数)値を西航市場の係数値(定数項)で割り算して求められる。
しかしこの中で、敢えて結論を出すとすれば、両市場を区別する程度が最も大きな行動相違型即応モデルを選択するというのが妥当である。この選択は、実は重要な意味を持っている。それは、図表I-2-5に見るように、水平的統合戦略である集中度が運賃決定に対してプラスの方向へ作用するからである。