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NVOCCは、船社系フォワーダーが提供するMCCと同等なサービスを開始している。日本通運では、タイ、マレーシア、フィリピン発の貨物をシンガポールに集約して、欧州、北米向けにウィークリーで混載している。ジャパン・インターモーダル・トランスポート社でも、同様にシンガポールで混載し北米向けに輸出するサービスを行っている。

 

4) 国際物流におけるサードパーティ・ロジスティクス(TPL)導入の課題

国際物流におけるTPLの特徴は、国内物流に比べて輸送に重点を置いたロジスティクス・システムが多いことである。長距離輸送であり通関をともなうことから、国境を越える距離の克服が中心になることは当然と思われる。しかし、一方で従来の輸送を中心としたロジスティクス・システムの延長線にあるとの考え方もあり、TPLと呼べるかどうか判断に迷う事例も多い。

国際物流分野のTPLサービスは、国内物流と同様に始まったばかりである。しかし、国際物流の場合には、国際競争入札により海外のTPL事業者との競争を通じてTPLが導入されている。荷主企業のなかには、物流業者との間でボリューム・ディスカウントによる有利な契約を求め大規模な入札を行う例もあり、グローバル・ビット(global bid)と呼ばれている。このような入札の場合には、海外のTPLと直接的に競合することになり、日系フォワーダーや船社にとってTPLへの取組は急を要する課題である。競争を通じて国際物流が効率化されることは荷主企業にとって好ましいことであるが、サービス提供者にとってより激しい競争にさらされることを意味する。

TPLサービスの供給者として、アセット型が有利か、ノンアセット型が有利か議論されている。船社の場合には、長距離輸送を効率的に輸送するため、船舶、コンテナ、荷役機械、倉庫等に巨額な投資を行い、これらを運航、運営するための能力が必要である。船社としてのコア・コンピテンスが、このようなネットワークの運営能力にあるとすれば、TPLに必要な荷主企業のロジスティクスの代行というような広範なソフト的能力とはあまり合致しないことになる。

実際現在のところ、船社は自らというより、子会社のフォワーダーを通じてTPLサービスを提供している。これは船社が提供するサービスが不特定多数向けのコモンサービスであるのに対し、TPLサービスが特定荷主に対する専用サービスであることを考えれば、当然かもしれない。世界規模のネットワークでより正確に低廉にオペレートしようとする船社が、同時に特定顧客向けにテイラーメードのサービスを提供することは難しいのかもしれない。

一方、フォワーダーにとってもTPLへの取組は容易ではない。資産を持たない分、柔軟なことは確かであるが、荷主のロジスティクスを代行するためには情報システムの構築や計画、コンサルティング能力など、より多くの機能を深めていかなければならない。利用運送の面でも海運の場合には、同盟との間でサービス・コントラクトの問題を抱えており、トラックや鉄道を利用運送するように低廉なコストで利用できない場合もある。

 

 

 

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