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(3) 国際物流におけるサードパーティ・ロジスティクス(TPL)の現状

企業のグローバル化により、国際的な調達、販売が拡大しており、国際物流を効率化しようとする荷主ニーズが高まっている。SCMの範囲は国境を超えており、すでにみたとおりこれを効率化するためのロジスティクス・アライアンスが生じている。このようにSCMのアウトソーシングの受け皿としてのTPLに対する関心が国際物流の分野でも高まっている。

以下では、船社、航空貨物会社、フォワーダーが国際物流におけるTPLにどのように取組んでいるか現状をみることとする。

 

1) 船社のサードパーティ・ロジスティクス(TPL)への取組

船社がTPLに取り組む場合、自社が直接行うよりも、子会社のフォワーダーが担当する場合が多いようである。船社の子会社のフォワーダーがTPLの考え方を取り入れたサービスを提供している事例としては、カーゴシステム(OOCLの子会社)、マーカンタイル(マースクの子会社)、P&Oロジスティクス等があげられる。

カーゴシステムは、MCC(Multi Country Consolidation=多国籍混載)により、複数国から小口貨物を集めFCL化し、海上運賃の削減、積載率向上、情報一元化等の効果をあげている。ソニーでは、東南アジアの生産拠点から日本、欧州への輸出で高雄港を集約拠点とするMCCを利用している。日本への逆輸入では、日本国内の陸上転送費用を削減するため、地方港を利用している。イギリスの百貨店バートン社では、中国を中心とするアジア諸国から調達した衣類をハンガーにかけたまま輸出し、一貫した物流効率化を図っている。

マーカンタイルは、マースクを擁するA. P. モラーグループ参加のフォワーダーである。アジア地域発の混載サービスを行うため設立されたが、現在はTPLを事業の中心においている。地域別に現地法人を設立し、独立した運営を行っている。スカンジナビアを対象とするマーカンタイル・スウェーデンでは、自動車会社向けの部品の調達物流、スペアパーツの配送を行っている。海外から調達しイエテボリで陸揚げした貨物は、クロスドッキングセンターで仕分けられ迅速な配送が行われている。

 

2) 航空貨物会社のサードパーティ・ロジスティクス(TPL)への取組

商品価格が高く迅速性が要求される商品では、航空貨物会社、なかでもインテグレーターがSCMを担う場合が増えている。

デルコンピューターでは、ワン・ツー・ワン・マーケティングを採用し、顧客の動向にすばやく反応できるプル型のシステムに移行した。日本法人のデルジャパンでは、顧客の注文に基づきマレーシア工場に生産を依頼する。

 

 

 

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