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NVOCCの資格を持つ現地法人が主宰する場合には、日本の親会社が現地法人の代理人として、貨物を集荷し、複合運送証券を発行することになる。いずれの場合にも、利用する船社は、同盟船社がNVOCCに対しサービス・コントラクトを認めていないため、FAK(Freight All Kinds、品目無差別)運賃を設定する盟外船利用が大部分である。

フォワーダーが主宰する欧州向け複合一貫輸送サービスでも、基本的な仕組みは北米向けと同様である。欧州向けでも、同盟がフォワーダーを契約対象荷主として認めず、ボックスレートも提供していないため、利用船社は同盟船社がほとんどである。

アジア向け複合一貫輸送サービスは、これまで荷主企業の進出拠点が沿海部に限られていたことからあまり発達していなかった。しかし、内陸部への進出企業が増え、アジア域内の水平分業の拡大から域内物流や欧米向け輸出が増えており、多様なサービスが開発されるようになってきた。

日韓一貫輸送の歴史は古く、1972年に日本通運が大韓通運と組んで関釜フェリーで国鉄の5トンコンテナを利用して開始した。1980年代には、日本の主要港から釜山までコンテナ船を利用し、トラック、鉄道で輸送するサービスが増えている。1993年の外資規制緩和以降、日系有力フォワーダーは韓国内の輸送体制を強化しており、混載輸送、国際宅配便サービスを拡大している。

日本と海峡地間の一貫輸送では、シンガポールを経由地とするアジア向けのサービスが中心である。主要フォワーダーは、同ルートで定曜日混載サービスを提供しており、日本との間で部品輸出と製品輸入が増えている。日本を対象としたサービスに留まらず、シンガポールを経由した東南アジア/北米、欧州間の三国間一貫輸送サービスを開始するフォワーダーも増えている。日本通運では、三国間輸送サービスを強化しており、タイ、マレーシアの貨物をシンガポールに集約し、定曜日に欧州向け、北米向けに輸送するサービスを開始したほか、シンガポール発台湾、中国、フィリピン向け混載サービスを開発している。

中国内陸地域向けの国際複合一貫輸送は、コンテナ導入が遅れたため、他地域より遅く、1980年代初め頃から開始された。主な輸送ルートは、香港経由広州等南部向け、天津経由北京向け、大連・青島経由東北部向け、上海経由華中向けである。中国内陸部の道路未整備、鉄道輸送力の不足、空きコンテナの回収等が問題とされてきたが、徐々に改善されてきている。最近ではJR貨物やフォワーダーが中国鉄道部と協力して、鉄道輸送サービスの改善を図るなど、国際コンテナ列車の整備が進められている。中国鉄道を利用した一貫サービスで注目されているのがチャイナ・ランドブリッジである。1990年、部分的に中国連雲港から阿拉山口までコンテナ専用列車の運行が開始されるなど運行体制の整備が進んでいる。1996年には、日進が中央アジア向け一貫サービス「中央アジア特快」を開始している。将来的にはロシアを経由して欧州まで結ぶ計画がある。シベリアランドブリッジと比べ輸送距離が短いことから、極東と欧州を結ぶ新ルートとして期待されている。この他、フォワーダーのなかには、急増するアパレル、家電製品の中国から日本への輸入を対象に、輸入混載サービスを拡大するものも増えている。アパレル製品では、検品、検針、ラベル貼等の複雑な流通加工が必要とされ、これらの付帯サービスを組み込んだ物流サービスを提供している。

 

 

 

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