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マレーシア政府は、シンガポール港への依存を軽減するため、ジョホール港のコンテナバース整備を行っているが、日系フォワーダーのなかにはジョホール港に物流センターを整備して直航体制に備える企業もある。

インドネシア、フィリピンに対する注目は高まっているものの、両国の外資規制は厳しく、進出しているフォワーダーは限られている。インドネシアでは、倉庫業を除きフォワーダー事業への直接投資は禁止されている。経済危機に端を発する外資規制の見直しが行われているが、その動向は不透明である。フィリピンでは、フォワーダー事業への外資出資比率が40%までしか認められていなかったが、1998年から規制緩和の方向にあり、大手フォワーダーは現地法人を立ち上げ始めている。

対外開放政策により急速な経済発展を続ける中国へは、日系製造業者が製造拠点をシフトしており、フォワーダーもこれに追随している。フォワーダーの進出先は、上海、大連、華南の経済特別区に集中しているが、内陸都市への進出も増えている。従来は、ほとんどの企業が中国対外貿易運輸総公司(SINOTRANS)、中国外輸代理総公司(PENAVICO)等の中国政府機関や国営企業との合弁形態によって進出していた。1992年に運輸分野における対外開放政策が示され、船社は単独出資の現地法人設立が認められたが、フォワーダーについては認められていない。相互主義に基づき日本政府は自由化を要求しているが、96年外国投資国際貨物運送代理(フォワーダー)企業審査・規定により、なおも外資出資比率は50%に制限されている。中国では、このほか事業規制の透明性が低い部分が多く、事業展開にも有形、無形の制約が多い。物流関連インフラの整備不足という根本的な制約条件もあり、参入が急増する反面その事業環境は厳しい。

 

3) 国際複合一貫輸送サービス

荷主企業の物流ニーズは、従来のような港から港への輸送に留まらず、ドア・ツー・ドアの複合一貫輸送へ広がっている。国際複合一貫輸送は、狭義には国連国際物品複合運送条約によって定義されるように、一貫した運送責任による引受け、通し一貫運賃の設定、複合運送証券の発行が条件とされる。しかし、これらの条件すべてを満たしていなくても、複数の輸送機関をシステムとして結びつけたサービスを広く指す場合が多い。以下では広義の国際複合一貫輸送について概要をみることとする。

フォワーダーが主宰する北米向け複合一貫輸送サービスでは、フォワーダーは日本から米国の港湾まで利用する船社と内陸輸送で利用する鉄道会社やトラック輸送業者と運送契約を結び、一貫輸送サービスを提供する。フォワーダーは、荷主と複合運送契約を締結して、荷主に複合運送証券を渡す。

北米には、現在84社のフォワーダーが進出しており、一貫したサービスを提供している。NVOCCとしての資格を持つ日本法人が複合一貫輸送を行う場合には、米国内陸地点までの海陸通し運賃を設定してFMCにファイルし、利用する実運送人を登録し、米国内での代理店を指名する。

 

 

 

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