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2) 海外進出状況

日本のフォワーダーは、1980年代に欧米地域への進出を活発化させたが、現在、欧米への進出はほぼ一巡している。

北米への進出は30年以上の歴史があり、現在も日系フォワーダーにとって最大の市場である。各社は、NVOCCまたはオーシャン・フレイト・フォワーダーとして進出している。ロサンゼルスを中心とした拠点展開も現在では内陸を含めて全米に拡大している。バブル期には、大規模な土地・倉庫の取得が続いたが、現在は沈静化しており、FTZ(Foreign Trade Zone)や保税CFSの指定を受けたり、大型冷蔵倉庫を整備するなど、内容の充実が進められている。

欧州への進出は、1992年末の市場統合を目指して急増したが、現在は一段落している。域内国境の撤廃により、欧州のゲートウェイとなるロッテルダム、アントワープ周辺での施設拡充が進められている。欧州での営業活動上必要性が高いISO9002を取得する日系フォワーダーが増えているほか、倉庫の社有化、域内トラック輸送の自営化など、営業活動の高度化が進められている。

現在、フォワーダーの海外展開は、アジア地域が焦点となっている。アジア地域のなかでは、香港とシンガポールが中核拠点として位置づけられ、タイへの進出企業も多い。とくに最近は、中国への進出が急増しており、新規市場としてフィリピン、インドネシア、ベトナムへ進出する企業も増えている。しかしながら、1997年以降のアジア通貨・金融危機により、アジアへの進出も調整段階を迎えている。

アジア地域への進出は、現地法人、合弁会社、駐在員事務所を合わせて、1990年末の202拠点から1997年末の457拠点へと急増している。一般的に海外進出は、駐在員事務所の設置、現地事業者との合弁会社設立、単独出資による現地法人設立といった段階を経るが、アジア地域への進出状況は、荷主企業の進出状況や現地政府の外資規制等の条件により様々である(図表I-1-1)。

日系フォワーダーにとって、アジアの中核拠点は香港とシンガポールであり、1980年以前から進出を開始している。香港は、中国華南地方のゲートウェイとして位置づけられている。日本とアジア諸国から調達した部品、半製品を仕分け、一時保管し、中国工場へ輸出、また中国で製造された製品を輸入、一時保管し輸出するといった物流サービスを提供している。日系荷主が設置する国際調達拠点(IPO)に対応し、国際的な調達・輸出入を管理する機能を強化したり、倉庫を拡充するフォワーダーが多い。また香港と深塙間の自社トラック乗入れ許可を取得した事業者もある。

シンガポールは、政府が地域統轄本部(OHQ)機能の誘致政策をとっていることから、周辺諸国から部品、半製品等を調達するIPOを設置する荷主企業が多い。IPOでは、三国間輸送や在庫管理等の高度な物流サービスが要求されることから、フォワーダー企業も情報システム投資や自営倉庫の拡大など投資を拡大している。

 

 

 

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