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4) アジア

アジアでは、シンガポール、香港、韓国を除き、フォワーダー事業をサービス業とみなし外資に対する参入規制をかけている。このため、外資企業がこれらの国に進出する場合、現地企業との合弁企業の形態をとるか、駐在員事務所の設置にとどまる場合が多かった。

近年、参入規制が緩和される傾向にあるが、単独で進出可能な場合でも事業分野等に制約が設けられたりする場合がある。韓国、タイ、インド、フィリピンでは通関業を外資に開放していないほか、通関士国家試験制度を採用している国の中には自国民にしか受験を認めていない国もある。

フォワーダー事業は、海運、航空と異なり、世界貿易機関(WTO)のサービス貿易自由化交渉の対象となっている。しかし、WTOによる多国間協議はなかなか進展せず、現在のところ二国間の相互主義での政府間交渉が先行している。

アジア各国のフォワーダー産業は、現在のところあまり発展していない。その理由として、保護主義の悪影響に加え、国内の関連物流産業が発展していないこと、荷主ニーズがこれまでそれほど厳しくなかったことなどがあげられる。

しかし、このような状況は、日系企業を始めとする荷主企業がアジアに製造拠点を設けるようになり変化し始めている。進出荷主企業は、国内と同じ高度な物流サービスを求めるようになっており、本国で利用していたフォワーダーを現地でも利用したり、それができない場合は自家用輸送を行っている。現地フォワーダーのなかには、欧米や日本のフォワーダーと提携を行ったり、技術指導を受けるものも増えており、今後の発展が予想される。

 

(2) フォワーダーの国際物流サービス

1) コンテナ貨物取扱実績

貨物運送取扱事業法施行(1993年)以降、フォワーダーは外航海運利用運送実績を報告することが義務づけられた。輸出コンテナの取扱実績をみると、経済が低迷するなか取扱量を拡大してきたが、1996年度は初めて減少し、1,711万トンとなった。この実績を全国の輸出コンテナ貨物量7,691万トン(トランシップ貨物及び不定期船による輸送を含む)と比較すると、22.2%となる。

フォワーダーによる輸出コンテナ貨物取扱量のうち、LCL貨物が31.9%、FCL貨物が68.1%を占めている。フォワーダーは、混載差益を享受できるLCL貨物拡大を図っているが、量的にはなおもFCL貨物が主体となっている。

JIFFA(日本インターナショナルフレイトフォワーダーズ協会)調査数字によれば、最近はとくに輸入の伸びが著しく、1995年度に初めて輸入が輸出を上回った。方面別には、中国、NIESを中心とするアジア地域の貨物量が増加している。

 

 

 

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