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一方、オーシャン・フレイト・フォワーダーの責任は、船社のサービスを荷主に取り次ぐ範囲に留まる。参入にはFMCの免許が必要とされ、3万ドルの供託金が必要とされる。

1998年10月、米国海事法改正案(Ocean Shipping Reform Act of 1998、S414)が成立した。現在、最終施行細則を作成中であり、1999年5月からの施行予定である。NVOCC、オーシャン・フレイト・フォワーダーは、新たにOcean Transportation Mediariesとして規定され、その枠組みの中で現行どおりNVOCC、オーシャン・フレイト・フォワーダーとして規制される。両事業ともに免許制となり、供託金もそれぞれ75,000ドルと50,000ドルに引き上げられ、さらに両事業を兼業する米国籍事業者は10万ドル、外資の場合は15万ドルにする案が浮かびあがっている。一方、NVOCCの運賃届出義務は廃止され、運賃自由化のもとで競争がさらに激化するとみられている。

 

3) 欧州

面積の狭い多数の国が国境を接している欧州では、歴史的にフォワーダーが物流で果たす役割が大きかった。100年以上の長い歴史を有する有力フォワーダーが活躍しており、そのなかには世界的な営業網を持つものも少なからずある。

フォワーダー事業に対する規制は各国様々であるが、一般的に実運送業者に比べかなり緩く、自由な事業活動が行われている。これは、自由な事業活動がフォワーダーの存立基盤であることが認識されていることに加え、実運送業者がフォワーダーに営業機能の多くを依存する関係にあるためと思われる。

欧州最大規模のフォワーダーが数多く拠点を構えるドイツでは、運送取扱人(Spediteur)として商法で規定されている。運送人の経済上の実質的規定は、統一的約款「普通ドイツ運送取扱人約款」として定められ、商慣習として規範的効力を有している。

フランスでは、政令(Decret)により運送取扱人(Commissionnaire de transport)として規定されているが、現在の政令では国際輸送に係わる運送取扱人は規制対象から除外されている。

イギリスでは、フォワーダーは規制の対象となっておらず、明確な定義は行われていない。しかし、フォワーディングの長い歴史的伝統を持ち、自由な事業活動が行われている。運送事業に対する経済的規制がもっとも早い時期に行われ、また大規模小売業者が発達していることもあり、イギリスのフォワーダーのサービスはもっとも進んでいるといわれている。TPLサービスについても、イギリスのフォワーダーがもっとも早い時期に開始したという指摘もある。

欧州のフォワーダーは、1992年の欧州市場統合によって大きな影響を受けた。市場統合以後、域内国境が廃止され、通関事業は縮小を余儀なくされている。新規事業として、国際的な展開と新サービスの開発が相次いで行われている。大手フォワーダーは、TPL事業を有力な新規事業とみなし、取り組みを強化している。

 

 

 

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