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SCMが浸透する以前には、サードパーティという場合、荷主と実運送業者の間に介在する事業者を総称していた。この範疇には、輸送ブローカー(Transportation BrokerまたはMotor Property Broker)、フレイト・フォワーダー(Freight Forwarder)、シッパーズ・アソシエーション(Shippers' Association)、シッパーズ・エージェント(Shippers' Agent)が含まれる(Lambert et al.(1998))。

輸送ブローカーは、実運送業者の輸送サービスの仲介を行い手数料を受け取る。フレイト・フォワーダーと異なり運送責任を負わず、この点からみて日本の運送取次事業者に類似した輸送事業である。

フレイト・フォワーダーは、実運送業者の輸送サービスを利用し、独自の運賃に基づく混載サービスを提供している。日本では利用運送事業者に相当する事業である。

シッパーズ・アソシエーションは、フレイト・フォワーダーと類似した機能を担っている。しかし、シッパーズ・アソシエーションは、主に中小規模の荷主によって結成され、非営利事業として営まれる協同組合である。中小荷主が貨物を混載することにより、大手荷主と同じように運賃割引を得ることが目的である。

シッパーズ・エージェントは、インターモーダル・マーケティング・カンパニー(Intermodal Marketing Company)とも呼ばれる。シッパーズ・アソシエーションと類似しているが、シッパーズ・アソシエーションがおもにトラックを利用するのに対し、鉄道を利用した複合輸送を対象としている。

 

2) サプライチェーン・マネジメント(SCM)におけるサードパーティ・ロジスティクス(TPL)

元来、TPLは以上のような事業の総称であったが、とくにフレイト・フォワーダーを中心としてこれらの事業者がSCMを売り物とした物流サービスを提供するようになり、TPLの概念が変わり始めた。実運送業者も、フレイト・フォワーダーに負けずにSCMに取り組み始め、現在ではTPLといった場合、SCMのなかのロジスティクス機能を受け持つ事業者という意味合いが強くなっている。

米国ロジスティクス管理協会では、TPLの概念として「ロジスティクス・チャネルを構成する事業体と、一時的もしくは長期間にわたる関係を保っている中間的代理業者」を示している。また、TPL事業に対する広範な調査を行っているアームストロング&アソシエイツ社では、「特定荷主企業のサプライチェーン運営の改善とロジスティクス・コストの低減を基本機能とする総合サービス・プロバイダー」としている。

このように米国ではTPLの概念がSCMの導入以降変化している。旧来の概念は、法律的な事業区分を指す場合になおも用いられている。また最近のTPLの概念もかならずしも収斂しているわけではないことから、一部には概念の混乱がみられる場合もある。

 

 

 

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