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アウトソーシングは、輸送、保管などの単一の機能ではなく、ロジスティクス・マネジメントとしてまとまった複数の機能を一括して外注することを指している。

ロジスティクス機能のアウトソーシングが増大している理由として、SCMでは構成している企業が自社のもっとも競争力が発揮できる分野(コア・コンピテンス)に集中して連携することがあげられる。製造業者はものづくりに、流通業者は販売に特化し、自社のコア・コンピテンスに関係ないロジスティクス機能はアウトソーシングするのである。ロジスティクス機能をコア・コンピテンスとする物流事業者は、SCMの重要な構成者となるのである。

アウトソーシングが促進される理由としてRazzaque and Sheng(1998)は、グローバリゼーション、ジャスト・イン・タイムの拡大、サードパーティ・ロジスティクスの技術的発展と多様性を指摘している。

グローバリゼーションは、アウトソーシングを促進するもっとも重要な要因として指摘されている。調達、製造、販売が地球規模で広がることによってSCMが距離的、時間的に延びており、ロジスティクス担当者は通関や外国の物流事情に起因する複雑性に直面するようになった。このためサードパーティ・ロジスティクス事業者の専門知識・能力が活用されるようになったというのである。

ジャスト・イン・タイムに基づいたロジスティクス・コントロールを行うには、専門知識・能力が必要とされ、投資も伴う。自社でトラック、倉庫等に投資するよりも、専門的なロジスティクス・サービスを提供する事業者にアウトソーシングした方が、固定費ではなく変動費で対応できることも含めて望ましいと判断する企業が増えている。

一方、ロジスティク・スサービスの提供者側でも、SCMのアウトソーシングの受け皿を新たな市場としてとらえている。物流業における規制緩和は1980年代以降急速に進み、現在米国の物流事業に対する経済的規制はほぼ撤廃に近い状態にある。物流市場での競争は激化し、物流業者はより収益性の高い事業を展開しようとしている。サードパーティ・ロジスティクスはそのようなロジスティクス・サービスのプロバイダー側の試みとして捉えることができる。

 

(2) サードパーティ・ロジスティクス(TPL)の概念

SCMが導入されるにつれ、サードパーティ・ロジスティクスへの関心が高まっている。しかし現在のところ、サードパーティ・ロジスティクスの歴史は新しく、その概念は収斂していない。サードパーティという呼称が、当初、フォワーダー、ブローカー等の事業区分の総称として用いられていたことも混乱を招いているようである。ここで代表的ないくつかの概念をみておくことにする。

 

1) 事業区分としてのサードパーティ

サードパーティ・ロジスティクスがもっとも浸透している米国では、いくつかの概念が示されている。

 

 

 

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