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【結果および考察】

調査対象の4地点、すなわち松島湾東名地先、石巻湾野蒜沖、女川湾竹ノ浦、そして舞根湾で採集した試料の間で、貪食率、貪食指数ともに明確な差が認められた。

また、同一地点の試料においても、採集する時期によって貪食能は大きく異なっていた。結果は、各採集月ごとに貪食率と貪食指数を分けて、4地点間の値を比較したものと6月から12月までの変動を採集地点ごとにまとめたもので示した(表(c)-1および図(c)-2から図(c)-25)。

まず最初に、調査対象の4地点間の各月の貪食率を比較した結果、環境要因(外的要因)、主として水温の変動に大きく影響されていることが考えられた。また、もう1つの要因として性成熟の進行とその最終的な形態である放卵・放精(内的要因)が夏の時期(6月から8月、これは場所によって異なる)には影響し、部分的または季節的ではあるが、2つの要因の複合作用によって貪食能は変化していることが考えられた。

6月の測定においては、東名地先の試料の貪食率が他の3地点から得られた結果と比較して有意に高い値を示し、特にこの6月の試料では62.9%と今回の調査期間を通じて最も高い値を示した。同日の野蒜沖の試料では47.4%、竹ノ浦のものでは44.5%、そして舞根の試料では41.9%であり、15%から20%の大きな差が認められた。【材料および方法】の項で示したように、各試料は本来同一群である。しかし、調査対象地点に移植してから約1ヶ月後の6月では東名地先の試料と他の3地点の試料との差は大きなものとなっていた。このような地点間での違いを生じた要因を推定する1つの材料として、内的要因としての生殖巣の発達段階の違い、外的要因として水温、溶存酸素量、そして塩分濃度のデータを合わせて考えてみた。6月は、(b)の結果で示したように、各地点の試料とも生殖巣の発達期(あるいは発達後期)から成熟期に入った段階であると考えられ、まだ放卵・放精は起こっていなかった。全体として個体差が大きく、評価は難しいものの、地点間での違いはほとんどないと考えられた。また、環境要因の1つである6月の水温をみると、フランスガキを垂下している水深に近い3mあるいは5mでは、東名地先が最も高く、竹ノ浦と比較すると5℃以上の差があった。

 

 

 

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