2) 血球の貪食能の測定
In vitroにおける血球の貪食能の測定は、以下の手順で行った。
異物としては、パン酵母Saccharomyces cerevisiae(IAM4178、東京大学分子・細胞生物学研究所から分与)を用いた。パン酵母はYM broth(DIFCO社)を用いて23℃で12時間培養したものをリン酸緩衝食塩水を用いて2回洗浄し、最後に蒸留水に懸濁した。この懸濁液に対して121℃、15分間のオートクレーブ処理を行った後、蒸留水で再び洗浄した。オートクレーブ処理酵母は、蛍光物質のフルオレセインイソチオシアネート(FITC、同仁化学社)1mgを含む炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.4)に再懸濁して、室温の暗条件下で30分間振とうし、FITC標識酵母を作製した。
血球懸濁液(5x105cells/ml)200μlをHTコーティングスライドグラスのウェル(直径11mm)にのせてから20℃で30分間静置して、血球をウェルの表面に接着・伸展させた。静置時間終了後、未接着の血球をoyster BSSで洗浄してからFITC標識酵母を含むoyster BSS(200μl)を血球の上に重層して20℃で60分間静置することで貪食させた。静置時間終了後、十分量のoyster BSSでウェルを洗浄し、貪食されなかったFITC標識酵母を除去した後、0.2%トリパンブルー溶液を加えて、残存している貪食されていないFITC標識酵母の蛍光を消光する操作を行った後、血球を10%ホルマリン─oyster BSSで1時間固定した。固定時間終了後、十分量のリン酸緩衝液で洗浄を行ってから、グリセロール─ゼラチン溶液で封入し、光学顕微鏡下で血球の状態の観察するとともに、蛍光顕微鏡下で貪食された異物の計数を行った。測定は1つのウェルあたり約400個の血球を無作為に選んで調べることとした。各個体について3つのウェルを測定し、その平均値を各個体の示す数値とした。
貪食能を表す指標としては貪食率および貪食指数を用いた。今回の研究においては、貪食率は観察した血球の総数に対する異物を貪食している血球の割合を表し、一方の貪食指数は異物を貪食している血球1細胞あたりの貪食された異物の数を表すことに定めた。すなわち、貪食率と貪食指数は貪食能の異なる側面を評価するものと考えている。