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本研究において、観察を開始した6月の個体では、いずれの調査地点においても、その生殖細管内にかなり発達した精細胞および精子、そして卵母細胞を有する個体が数多く認められた(図(b)-2)。

6月から12月までの各月の個体の生殖組織の組織学的な観察結果の概要をまとめてみた。その結果、7月の各地点の個体では精子形成がさらに進行し、生殖細管内が精子で満たされた状態の個体が増加するとともに、卵形成も大きく進行しており、よく発達した第一次卵母細胞を多数有する個体が増加していた。また、一部の個体では、既に放精が起こっていると考えられた。調査地点間で比較すると、東名地先および野蒜沖の両地点の個体の方が、竹ノ浦および無根の個体と比較して、卵形成の進行が早く、6月の時点で、組織学的には十分に放卵可能な状態に達している個体が多く観察された。

配偶子形成の進行の遅速については、各地点間で若干の差異が認められたが、放卵・放精に至る生殖過程をみると、各地点の個体とも6、7月頃から段階的に放精を行うとともに卵形成を進行させ、8月中には大多数の個体が放卵を終えるという、ほぼ同様の推移を示した。

放卵・放精を終えたと考えられる10月以降の個体については、野蒜沖で特徴がみられた。すなわち、野蒜沖の個体では、ある程度十分に成熟しながら未放出であったと考えられる精細胞および精子が多く残留している個体が複数認められた。さらに、その状態は12月の試料でも観察された。

まとめると、本研究で比較検討した4地点の個体の性成熟と放卵・放精の進行については、観察初期の6・7月の配偶子形成の段階で認められた差異と10月以降の野蒜沖の個体の特徴を除くと、特に顕著な差はなかったと判断された。

3) フランスガキ各組織の組織学的観察

4つの調査地点から採集された各個体の鰓、軟体部中央部の生殖腺間質結合組織、消化盲嚢、および表皮の各組織について、生殖巣と同様な手法により組織学的にその性状を検討した。

その結果、いずれの地点においても、検討したすべての組織において、著しく異常と推定される組織像は観察されなかった。また、4調査地点の個体間でも、上記の組織においては顕著な違いは認められなかった。

 

 

 

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