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即ち、従来の高弾性継手ではねじりバネ定数は負荷トルクに依存せず、常に一定値であるが、DCB形高弾性継手ではねじりバネ定数は負荷トルク上昇と共に大きくなって行きます。このねじりバネ定数の特徴は軸系ねじり振動上大変に有利になります。

 

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図-4 トルク試験結果

 

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図-5 バネ定数グラフ

 

図-6はDCB形高弾性継手による軸系ねじり振動計画の一例です。継手のねじりバネ定数は負荷トルクによって変化するので、機関の負荷が変化するにつれて軸系ねじり振動の固有振動数も変化します。機関をある負荷で運転しているときには、その負荷での固有振動による共振特性曲線上で運転している位置での裾部の振幅のねじり振動のみが観察されますが、機関の回転数を変化させて継手に作用する負荷トルクが変われば、固有振動数も変化し、その負荷に相当する裾部の振動のみが現れます。結局、機関回転数を変えると、ねじり振動の共振位置は機関の回転位置から離れたところで運転位置を追いつ、離れつ一定の距離を保ちながら移動します。その結果、機関を運転した場合には弾性継手には図-6の太線に示すようなねじり振動トルクが作用することになります。

 

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図-6 ねじり振動グラフ

 

図-7は減速機クラッチ脱のアイドリング状態のねじり振動を従来の弾性継手と対比したグラフです。アイドリング状態では弾性継手のバネ定数が更に低下するので、クラッチ脱にも拘らず、ねじり振動のピークの位置は従来の弾性継手の場合よりかなり低い回転数域に移動し、使用禁止範囲も大幅に改善されますので、ねじり振動計画が楽になり、扱い易いエンジンとなります。

 

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図-7 アイドリング状態

 

 

 

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