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斜め前方の移動では、横移動の場合の各推力機器の動きを基本とし、CPPの前進推力を増加させれば良いのですが、船は斜め前方に進むことによって時計回りの回頭モーメントを受けますから、これを打ち消してやるためにバウスラスタの左方向推力を増加させてやらなければなりません。

斜め後方の移動では、同じく横移動の場合の各推力機器の動きを基本とし、CPPの後進推力を増加させます。このとき船は斜め後方に進むことによって反時計回りのモーメントを受けるので、PORT側の舵角を増加することによってこのモーメントを打ち消します。

 

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図2 斜航の原理

 

3.2 TURNモード

図3には船がFORE・MIDSHIP・AFTをそれぞれ旋回中心として旋回する場合の各推力機器の動きを表してあります。

FORE中心の旋回は、時計回りの場合PORT側のCPPに前進推力を与え、舵に横方向力を発生させます。STBD側のCPPはPORT側のCPPの前進推力を打ち消すために後進推力を発生させます。このときバウスラスタは推力を発生しませんので、船尾に左方向の力が働き船はFOREを中心に旋回するようになります。

MIDSHIP中心の旋回は、FORE中心の旋回にバウスラスタの動きが加わったものです。バウスラスタによって右方向の推力を発生させて舵の作り出す左方向の横力と合成し、時計回りのモーメントを与えることによって船はMIDSHIPを中心に旋回するようになります。

AFT中心の旋回は、基本的にはバウスラスタで行いますが、船が横流れしながら旋回することによって船に前進力が働くため、この力を打ち消すように両舷のCPPに後推力を発生させます。こうして船はAFTを中心に旋回するようになります。

 

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図3 旋回の原理

 

 

 

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