CL16シリーズ自動スラッジ排出形潤滑油清浄機 阪神内燃機工業株式会社
1. はじめに
燃料油の性状はますます悪化傾向にある現在、エンジンの燃焼に関するトラブルはもちろんシステム油の汚損度にも大きく影響を与え、それに関するトラブルも多くなってきています。以前は、A重油専焼船の潤滑油清浄機はあえて装備する必要はないと言っていましたが、その当時、建造された船で現在潤滑油の汚損で苦労されていることをよく聞きます。最近、A重油に潤滑油の廃油を混入しているとの話もあり、今後はC重油専焼船はもちろん、A重油専焼船でも潤滑油清浄機が必需品となるのも間近と思われます。
2. 開発の目的
内航船においては乗組員の高齢化と減員、労働時間の短縮の傾向がある中で、船舶整備公団殿(現在、運輸施設整備事業団殿)の調査によると、清浄機のメンテナンス作業が機関関係の作業の30〜36%と報告されています。故に清浄機に関するメンテナンス時間の減少、新油の損失の減少、スラッジ処理の容易さをターゲットに190台の製造、販売実績を持っている開放掃除形清浄機(HC-L形)をべースにし本製品を開発しました。
3. 特長
自動スラッジ排出形の潤滑油清浄機は船内労力軽減や海上汚染、廃油処理など時代の要請に応えるために開発しました。
主要目は表1に示しています。
次の特長があります。
1) 無開放で自動的にスラッジを排出する。
従来形は回転容器に補促したスラッジは回転容器を分解し排出していたが、本装置は無開放で自動的にスラッジを排出することができ、労力の軽減が計れます。
2) スラッジは濃縮されて排出、潤滑油の損失も少量。
水を利用した三層分離式の清浄機は従来より数多く使用されているが排出されるスラッジが水、油と混在しているため、スラッジ処理が困難であるとともに潤滑油も排出されるので、損失が多い。今回、開発した清浄機はこれらの問題を解決するため、回転容器を下開き形状とし、スラッジ排出時、インバータ制御で回転数を1800rpmから75rpmに低下させて、使用可能な潤滑油を回転容器から回収し、その後900rpmに上昇させて、スラッジをノズルより排出し、再び回転数を上昇、常用運転に入るシステムを採用しています。
これにより、スラッジの処理が容易で潤滑油の損失も少なくできるとともに、無停止形であるため、発停時の振動によるトラブルの減少と軸受等の寿命も長くするメリットも予想されます。排出されるスラッジはスラッジと少量の潤滑油が排出されますが、これはナイロン製ゴミ袋の中へ排出する構造にしていますので、処理が容易です。
3) スラッジ排出作業は自動で、排出時間は短時間。
スラッジ排出作業は全て自動となっており、その作業は10分で完了します。船内労力軽減になります。
4) 水分検知も可能(オプション)
清浄機より異常に水分が排出された時は、水分検知もできます。